著者
三宅 元子 今村 匠沙
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> &nbsp;高等学校家庭科の消費者教育に,消費者としての適切な意思決定に基づいて責任を持って行動できる力の育成を目指した学習の導入を検討する.この目標を達成するための基礎資料を収集する目的で,すでに高校までに家庭科を受講した学生の消費者教育の学習状況及びお金に対する意識と消費行動について調査した.<br><b>方法</b>&nbsp; 大学及び短大の1年生327名を対象として,2014年4月にアンケート調査を行った.<br><b>結果</b>&nbsp; 学生が家庭科で消費者教育を受けたという意識は,中学・高校のいずれも約10%と低かった.約45%は覚えていないあるいは受けたことがない,残りの約35%は社会科,総合的な学習の時間,全校集会での講演であった.学習した内容は,クーリングオフ,クレジットカード,悪質商法の順であった.お金に対する意識では,真剣にお金について考えたことがある者は75%であり,90%以上が自己の金融に関する知識や判断能力は高くないと考えている.また,消費行動では,小遣い帳の記入は経験者と未経験者が約半数ずつであり,クレジットカードは半数以上が1枚以上の所持を希望している.商品の購入では,通信販売の経験は67%であり,なかでもインターネット(以下,ネット)を利用した購入が74%と高かった.悪質な商法に遭った経験は1%以下であったが,被害はネット購入によるものであった.継続してネット購入を希望する者は約半数であり,今後の消費者教育の学習内容に関する示唆が得られた.