著者
小野田 恭久 今村 昌子
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.101-105, 1980-02-20
被引用文献数
2

茶浸出液中の残留農薬分析操作に, 塩基性酢酸鉛による除タンニン操作を加え, 各農薬の抽出法を検討し, 以下のような結果を得た.1) 茶浸出液と抽出溶媒間のエマルジョンの生成が抑制され, 分離が良好となり, 脱水操作も短時間に行なうことができ, 告示法にくらべ高回収率を得ることができた.また, このとき大部分の色素類も同時に除去され, ガスクロマトグラム上の夾雑ピークの数も減少するなど, 茶浸出液中の残留農薬分析において, 塩基性酢酸鉛による除タンニン操作はきわめて有効な手段であった.2) メソミルの抽出溶媒は酢酸エチルがよく, 告示法の操作を省略できた.3) 告示法では, DMTP, イソキサチオン, PAP, ホサロン, TPNで抽出精製法がすべて異なっているが, 本試験の結果, 同一溶媒による同時抽出が可能となり, 操作の省略や抽出溶媒の種類を少なくすることができるなど, 分析試料の調整法が簡便となった.