著者
長岡 伸一 長嶋 雲兵 今村 隆史 小谷野 猪之助
出版者
愛媛大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

真空紫外光を用いて有機金属化合物の金属の内穀電子を励起すると,金属イオンが選択的に極めて効率よく生成する。本研究では,このような選択的かつ高効率な金属イオン生成の最適条件を求め,真空紫外光を用いた半導体製造プロセスにおける効率の高い化学気相蒸着(CVD)の方法を開発することを目的とする。2年間の期間で次のような研究を行なった。1。本研究を行なうためには,高強度高収束性の単色真空紫外光源が必要であり,それには分光器に光を導く前置光学系が重要である。そのために新たに非ガウス光学に基づく収差補正型の高反射ミラ-システムを設計製作し,分子科学研究所極端紫外光実験施設のBL3Bビ-ムラインのTEPSICOーII装置に装着した。新たに製作した高反射ミラ-システムは従来のものに比べて飛躍的に光強度が増大し,研究効率が著しく向上した。2,種々の有機金属化合物において,最も外のd内殻イオン化後には金属イオンとモノメチル金属イオンが生成し,解離パタ-ンは混成軌道を用いて説明できることが示された。3,中心金属の深い内殻を励起するとカスケ-ドオ-ジェが起こり多価イオンが生成し,リガンドの内殻を励起するとKVレオ-ジェが起こり2価イオンが生成するというような励起サイトに依在した解離過程が観測された。4,三メチルアルミニウムのAl:2P内殻付近においてアルミニウムイオンを含むイオン対の生成が増大することが見いだされた。