著者
平尾 智隆 井川 静恵 梅崎 修 松繁 寿和
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,学歴ミスマッチ(教育過剰と教育過少)が賃金に与える影響を統計的に検証することにある。具体的には,同じ学歴を獲得したにもかかわらず,より低い学歴しか求められない職業に就いた者(教育過剰者)とその学歴に見合った職業に就いた者(教育適当者)の賃金を比較する。また,より高い学歴が求められる職業に就いた者(教育過少者)の賃金を教育適当者のそれと比較する。研究の結果,①教育過剰者は教育適当者に比べて賃金が低いこと,②教育過少者の賃金は教育適当者のそれと比べて高いこと,③学歴ミスマッチの賃金に与える影響は,若年層よりも中高年層において,また男性よりも女性において大きいことが明らかになった。
著者
川岡 勉 片桐 昭彦 新谷 和之 古野 貢 遠藤 ゆり子 佐々木 倫朗 野田 泰三
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の活動の柱は、全国の守護の受発給文書の調査・収集作業であり、活字史料の検索・集約と並んで、対象史料を収蔵している研究機関・各種施設・個人などへの出張調査を分担して行った。こうして集めた史料をもとに、国別または守護ごとのデータベースを作成し、これを収録したCD―ROMを添付した報告書を作成した。データベースを読み解く上で便宜を図るために、手引きとなる解説文も掲載した。本研究のもう1つの活動の柱は、各自が調査・収集した史料やその分析結果を持ち寄り、共同で検討を加える研究会・史料検討会であり、年に2~3回の割合で会合をもった。途中でシンポジウムも開催して研究成果を広く公開・発信した。
著者
鑪迫 典久 寺崎 正紀 山岸 隆博 堀江 好文 山室 真澄 石橋 弘志 山本 裕史
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

化学物質の新たな存在形態となりうる、マイクロカプセルを介した化学物質の環境中動態、野生生物の蓄積および生態影響について明らかにする。マイクロカプセルとは、芯材に様々な化学物質を封入した微細な粒子状物質を指す。カプセルに封入された化学物質は、化学物質本来の化学構造から推定される環境動態とは異なる動きを示す。よってその動態解明は新たな研究分野として重要である。本研究ではマイクロカプセルの水環境中での拡散・環境動態および水生生物に与える影響を明らかにし、さらに揮発性・難水溶性の化学物質を内包したマイクロカプセルを合成し、カプセル化した場合としない場合とでの生物影響の差を調べる。
著者
武山 絵美 九鬼 康彰
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではルーラルフリンジを対象地域として,野生動物の生息域と農業集落の間のバッファーゾーンのレンジおよび適切な整備・管理手法を検討した.まず,防獣効果から見て必要なバッファーゾーンレンジを検討した結果,既存の10mレンジでは効果が低いこと,バッファーゾーンの形状,面積および植生が効果に影響を及ぼすことを確認した.次に,地区住民による管理が可能なバッファーゾーンレンジを検討した結果,狩猟者の活動は,地形条件および道路の整備状況に影響を受けることがわかった.また,林業者の活動は野生動物の出没を抑える効果があることを確認した.
著者
木村 勢津 田邉 隆 楠 俊明
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

男女各6名の児童を対象に3年間歌声と話声の変化を記録し、音声解析(音響解析)した結果、女児において第3フォルマントの位置が(24kHz表示で)、ソプラノ系が10kHz以上、アルト系が9kHz以下に位置し、将来の声種を判定する上で有用な観点となりうることを示した。また変声期前後の歌唱指導として、広い音域を滑らかに歌唱できる発声法を習得するために、地声と裏声の歌い分けに加え、地声と裏声の混合発声やポルタメントを用いた発声が有効であることを示した。
著者
日向 博文 片岡 智哉 青木 伸一 加藤 茂
出版者
愛媛大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

Worldview-2(Wv2)画像がもつ可視光域から近赤外域までの波長域におけるプラスチックのスペクトルを把握するため,ハイーパースペクトルカメラ(以下HSC)を用いた撮影実験を実施した.撮影実験は国総研屋上(標高12m) から真下にHSCを向けて行った.撮影実験にはNH-7(EBA JAPAN社製)を使用した.被写体は木片,海岸砂の上に設置したポリプロピレン(PP)とポリスチレン(PE)である.RGBの3バンドを使用してプラスチックを検出した場合,PPおよびPEが検出可能であるが背後の海砂もプラスチックとして検出されるが,Wv2の8バンドを使用した場合,海砂の誤検知はほとんど起きなかった.
著者
岩井 將
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012

本年度は、膵臓におけるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の分布と、その役割についてACE2欠損マウスを用いて検討した。1)膵臓におけるACE2およびMasの発現と局在:野生型マウスの膵臓を採取し、ACE2およびMasのmRNA発現をリアルタイムRT-PCR法により検討すると、これらが膵臓においては、心血管に比して多く含まれていることが判明した。さらに、免疫染色にてACE2とMasそれぞれの局在を調べると、ACE2は膵臓のランゲルハンス島に限局して発現しており、しかもグルカゴンと共存することが分かった。一方、Masの発現はランゲルハンス島よりも外分泌細胞に多く染色された。マウスを絶食させた後膵臓のACE2発現を調べると、絶食によりラ氏島のACE2は増加することが分かった。Mas発現はほとんど変化しなかった。2)絶食時の膵ホルモン分泌に及ぼすACE2欠損の影響:上記の結果から、ACE2が膵ホルモン分泌に関わる可能性が考えられたため、ACE2欠損マウスを用いて絶食を行い、その時の血中インスリン及びグルカゴンの濃度変化を計測し野生型マウスと比較検討した。野生型マウスにおいては、絶食24時間目から48時間目にかけて血中インスリンは著明に低下した。一方血中グルカゴンは絶食24時間目に増加が認められた。これらに対し、ACE2欠損マウスでは絶食後のインスリン低下が野生型マウスよりもさらに著しく、また血中グルカゴンは絶食前においてすでに高値でありまた絶食によっても変動しなかった。3)絶食後の再摂食による膵ホルモンの変動とACE2の役割:マウスを24時間絶食させた後、再摂食をさせると、1時間後には野生型マウスでは血中インスリン分泌が増加し、グルカゴン分泌は低下する。ACE2欠損マウスにおいては、血中インスリンは再摂食によって増加したが、血中グルカゴンレベルは再摂食により、著明に増加するという反応が認められた。これらの結果から、膵臓においてACE2はラ氏島に限局して分布し、グルカゴン分泌細胞に共存して存在して血中グルカゴンに分泌に重要な役割を果たすと考えられる。Masについては、その分布から現在のところは特定の役割を推測することができなかった。このような膵組織ACE2/Masの意義に関しては、今後さらに詳細な検討が必要である。
著者
吉松 靖文 村田 健史 井上 雅彦 木村 映善 中川 祐治
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、自閉症児を主とした発達障害児の日常生活を支援するための携帯型生活支援ツールを設計・実装し、その評価を行う。ツールは携帯電話で動作し、自宅、学校、外出先などどの場所にいても利用できる日常生活に根付いたツールとして設計した。さらに、パーソナルコンピュータでも同じユーザインターフェースと同じ機能で動作するアプリケーションを提供した。本研究では、このツールを実装し、これを用いて次の2点について研究を行った。平成16年度〜平成17年度は、発達障害児の生活支援ツールの設計・実装を行った。まず発達障害児に有効なインターフェースを提案し、XMLをベースにシステム設計した。ツールとしては、タイマー機能、スケジュール機能、カレンダー機能、絵カード機能の4つの機能を実装した。平成17年度〜平成18年度は、ツールによる自閉症児を中心とした発達障害児への実験を行った。臨床応用では、様々なタイプや程度の発達障害および生活シーンにおいて適用を行った。知的障害の特別支援学校では、PCでタイマーやスケジューラを表示し、学級での活用を行った。その結果、指示待ち状態にあった自閉症児が自発的に活動に着手したり、一つ一つの活動遂行に時間がかかっていた知的障害児や自閉症児が所定の時間内に活動を終えることが可能になったりするなどの成果が得られた。また、他児の遂行と自分のそれを比較するようになったり、タイマーを使っていない場面での活動への着手・遂行も能動的になったりするなどの効果も見られた。家庭での応用では、朝の支度や下校後の活動支援を行った。その結果、朝がなかなか起きられなかった高機能自閉症児が短時間で自ら起床するようになったり、宿題が通常の何倍もかかっていた高機能自閉症児が平均的な時間で宿題を終えるようになったりするなどの効果が見られた。
著者
荒 友里子
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

中央ユーラシアの草原地帯(ロシア中部・カザフスタン・キルギス)では、前二千年紀初頭から中頃にかけて青銅器が増大した。この青銅器の生産体制と流通の様相を明らかにすることで、当該地域・時代の社会経済の特質や地域間の影響関係について、より具体的な説明ができる。この研究目的を達成するため、本研究では紀元前二千年紀の中央ユーラシアにおける青銅器生産の中心地であったと想定されるカザフスタン中部・東部を基軸とし、青銅器とその生産に関わる遺跡・遺物の調査を実施する。
著者
伊賀 淳一
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

うつ病患者の白血球におけるセロトニントランスポーターの発現は上昇しており、プロモーターのDNAメチル化率は低下していることを確認した。幼少期のストレスの影響を今後検討する必要がある。このほか老年期においてうつ病との鑑別が重要となるアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症において血液から得られる診断バイオマーカーの検討を行い、TREM2、SNCA、INPP5、TOMM40、APOE、PINK1、ABCA7、MEF2C、DRD2の遺伝子発現やDNAメチル化率の変化について英語論文で報告することができた。今後も老年期うつ病と認知症の鑑別に役立つバイオマーカーの検索を行う予定である。
著者
梶原 克彦
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

第一に基礎研究として、主に現代ヨーロッパにおける少数民族問題と移民問題の事例と対策、理論的アプローチの整理を行った。第二に帝政期から大戦間期における国家イメージの研究を行い、その成果の一部を公表した。第三にこれらの問題に関し、ウィーンにおいて資料収集を行った。資料は (1)国家形態、(2)文化的属性とその経済的意味合いに従って体系的に収集した。第四に比較・共同研究への展開である。2012年1月に本研究代表者は、「国際秩序変動期の「併合経験」に関する比較研究」研究会を行った。また2013年6月にはドイツ現代史研究会において大戦間期オーストリア国民意識に関して報告し、比較研究へ向けた視座を得た。