著者
代永 裕子 島田 幸恵 井上 美津子 佐々 龍二
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.404-410, 2002-12-31
参考文献数
12
被引用文献数
7

本学小児歯科来院患者の実態調査は, さまざまな角度からこれまで5報まで報告してきた.今回, 最近の当科小児歯科外来患者の動向を把握する目的で, 新患来院患者を対象に年齢, 主訴, 地域, 月別, 曜日別の来院状況等について調査検討した.対象は, 平成11年 (1月~12月) の1年間の新患来院患者750名である.1) 平成11年の新患来院患者数は750名で, 開設以来年々緩やかな減少を示している.2) 来院患者の内訳としては, 健常児547名, 心身に何らかの障害を持った患児111名, 唇顎口蓋裂児92名であった.3) 平均年齢は, 健常児5歳8か月, 障害児6歳5か月, 唇顎口蓋裂児2歳3か月であった.4) 月別の来院数を比較すると, 6月に最も多く, 次いで4月, 7月と続いていた.5) 曜日別の来院数では, 月曜日に最も多く集中していた.6) 地域別来院患者においては, 周辺地域からの割合が70%以上を占めていた.7) 主訴については, 齲蝕治療を希望する患児が圧倒的に多く, 歯列不正, 外傷と続いていた.8) 健常児の一人平均df歯数は, 4歳代が最も多く, 6.25歯であった.9) 健常児において, 4歳以下の患児では60%に歯科治療経験がなかった.10) 来院患者全体のうち, 70%が治療, 定期診査と続いていた.これまでの報告と比較すると, 心身に何らかの障害を持った患児の増加, 主訴の多様化, 以上の点で特徴がみられた.