著者
仲川 浩世 Hiroyo Nakagawa
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
関西外国語大学研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.104, pp.117-128, 2016-09

本研究の目的は、本学短期大学部四技能統合型の必修クラスにおいて実施したパラグラフ・ライティング指導の効果について報告することである。1 年生を対象に日本人教員とネイティブ教員が同じクラスを担当し、共通の題材を用いて、総合的な英語力の底上げを試みている。本学の学生は、留学希望者も多く、オーラル・コミュニケーションを中心とした授業内活動に関しては、学習意欲も高い傾向にある。しかし、ライティング学習に対しては、苦手意識を持つ者も少なくはない。本実践では、社会問題を扱ったリーディング教材の内容把握を実施し、語彙、構文を習得後、自分の考えをパラグラフ内に英語で述べるよう指導した。さらに、対象学生にはパラグラフ・ライティングの学習経験が不足しているため、明示的に書き方についても指導した。本稿では、具体的な実践概要と指導前後のライティングの伸び、さらに自由記述アンケートの結果に関しても考察する。
著者
仲川 浩世 Hiroyo Nakagawa
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.257-267, 2018-09

本研究の目的は、英語ライティング・フィードバック研究の概観を振り返り、今後の日本の英語教育への導入を示唆することである。フィードバックとは、言語学習の発達を促進するため、発話に対する口頭訂正フィードバックと、L2(第二言語)ライティング・フィードバックに分けられる。本稿は、英語ライティング・フィードバックに焦点を当てる。L2ライティングにおける訂正フィードバックは、 内容や構成に関するものと文法に対するものがある。さらに、初期のL2ライティング研究とその後の第二言語習得(SLA)研究は観点が異なる。すなわち、L2ライティング研究のフィードバックは、形式面と内容に重点を置いていた。これに対して、SLA研究では、習得を目指すため、文法項目の訂正フィードバックに関するものが大半を占め、長期的に定着しないという批判もある。今後は、情意要因を考慮し、質的な調査に取り組むことが望ましいと考えられる。