著者
仲野 健一 川瀬 博 松島 信一
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1_38-1_59, 2015 (Released:2015-02-25)
参考文献数
51
被引用文献数
2

スペクトルインバージョン手法に基づき加速度フーリエスペクトルから分離抽出された強震動特性の性質について詳細な検討を行った。伝播経路特性としてのQモデルについて既往の研究と比較し、減衰傾向の新たな知見が得られた。また、サイト増幅特性の方位依存性について検討したが、約2Hz以上の高周波域でNS/EW比が2倍 (あるいは0.5倍) 程度になる観測サイトがあることがわかった。分離した震源スペクトルからコーナー周波数fcを読み取り、Brune (1970)の応力降下量および短周期レベルAを計算した結果、川瀬・松尾 (2004)の先行研究との間に顕著な差はないこと、本震と余震の応力降下量には地震モーメント依存性がみられること、壇・他 (2001)の地殻内地震の短周期レベルとは回帰式にもばらつきに対するt検定にも有意な差があること、佐藤 (2003)の短周期レベルとは地殻内地震のばらつきに対するt検定を除いて有意な違いがないことがわかった。