著者
浅野 敏彦 湯浅 一博 近藤 亮子 伊勢 直躬 竹縄 誠之 飯野 久和
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-9, 1997 (Released:2010-06-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

便秘傾向の成人女性を対象にしてグルコン酸カルシウム (GCA) の便性および菌叢に及ぼす影響について検討した.GCA摂取期間はGCAを含有するオレンジジュースを飲用し, 対照期間にはGCAを含有しない同じ組成のジュースを飲用させた.最初の試験として, GCAを1日6.0g (グルコン酸の重量として) 摂取した場合の糞便内菌叢, 有機酸および腐敗物質の分析を9名で, 排便に関するアンケート調査を107名で実施した.その結果, GCA摂取期間中のBifidobacteriumの菌数および排便回数は有意に増加したが, 水分含量, pH, 有機酸, 腐敗物質では顕著な変化は見られなかった.次に最小有効摂取量を求めるため, 糞便内菌叢については1日の摂取量を1.5g, 2.0g, 3.0gの順に設定して15名で, 排便に関するアンケート調査は1.5gおよび3.0gの順に摂取する群と, 2.0gおよび4.0gの順に摂取する群の各37名の2群に分けて実施した.その結果, 2.0g摂取以上でBifidobacteriumの菌数の有意な増加が見られ, 1.5g以上の摂取で排便回数は有意に増加し, 便の形状, 色でも一部で有意差が見られた.