著者
伊土 誠一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.2534-2542, 1993-12-15

ソフトウェアの聞発において・潜荏バグ数を精度よく推定できれぱ、効率のよい信頼性保証活動が可能となり、適切なソフトウェア聞放時期が決定できる。従来は、開発途中までのバグの発生数の経時変化を把握し、それをソフトウェア信頼度成長モデルにあてはめることにより、潜在バグ数を推定する方法が主に開発されてきた。この手法はデバグや試験のプロセス、横軸として何を採用するかが堆定精度こ大きく影響する。本論文では、バグ摘曲工程の途中のプロセスが潜在バグ数推定精度に影響を与えない特徴をもち、野生動物の頭数なぎを捧定する手段としてよく知られている「蒲獲・再捕獲法」をソフトウェアのバグ数推定に適用することを考える。それには、2つの間題を解決する必要がある。1つは、対象プログラムに埋め込んだバグをどのように選定するかである。これはバグ数の推走精度に大きく影響する。2番目は、バグ数推定のために埋め込むバグが発生することによるトラブルである。本来の品質保証作業の進捗に影響を与えないような工夫が必須である。本稿では、これらの課題を解決する「バグ摘獲・再捕獲法」を提案する。さらに、ここで提案した方法論とバグ捕獲・再捕獲法のために聞発したツールを、実際に商用に供する大規模ソフトウェアに適用した事例を紹介する。最後に、本方式とソフトウユア信頼度成長モデルとの推定精度の比較等の考察により、バグ捕獲・再捕獲法の有効性を示す。