著者
伊澤 紘生 堀 喜久子
出版者
医学書院
雑誌
看護教育 (ISSN:00471895)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.126-131, 2005-02-01

競争の弊害をなくすには「競争の裏側」の論理をもってきて対処すればいい。 伊澤 私たちの文化や文明がまさに同じでしょう。これだけ競争に明け暮れして,さまざまな素晴らしいものを生み出してきた。しかし,同時に,戦争とか,虐待とかいじめとか,あらゆるえげつなさも生んできた。私たちは,競争の論理のもっているいい面と悪い面をいかに認識するか。それには,競争の裏側の論理がちゃんとわかっていなかったらどうしようもないということです。そういうことを徹底的に教えてくれたのがサルなのです。 たとえば,面白い例だけど,10年ほど前,いじめや虐待,不登校,校内暴力など,小学校で激化しつつあるさまざまな問題への対処として,当時の文部省は「競争をあおるようなカリキュラムをなくすように」と通達を出したのです。