著者
伊藤 亜里
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

免疫記憶の柱の一つである、抗体産生を長期に行う長期生存形質細胞を取り巻く環境については明らかになりつつあるが、それ自体の性質の変化は明らかではない。我々は、骨髄の形質細胞で脾臓に比べて発現が高い遺伝子として、亜鉛を結合するMT1とMT2を同定した。MT1,MT2高発現形質細胞の遺伝子発現を調べたところ、Flt1, Hmox1など、細胞のストレス低減に関連する遺伝子群と発現の相関が高かった。脾臓の形質細胞ではMT1とMT2の発現がIL-6刺激によって上昇した。これらの結果から、長寿命形質細胞は、骨髄環境内でIL-6などの生存刺激を受けてストレス耐性機能を獲得している可能性が考えられた。