著者
伊藤 伸子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

強力な白血球活性化作用を持つロイコトリエンB4(LTB4)とその受容体BLT1の急性痛への関与について、BLT1遺伝子欠損マウスを用いて研究を行った。ホルマリン足底注入による急性痛モデルでの疼痛行動は、BLT1遺伝子欠損マウスで有意に減弱していた。脊髄での痛覚感作に関わる急性活性化因子CREBの活性化がBLT1欠損マウスで減弱し、またホルマリン注入局所の炎症所見が低下していた。さらにBLT1拮抗薬投与にても疼痛行動の減弱が認められた。急性痛病態形成においてLTB4-BLT1シグナルが局所の炎症反応とそれに続く脊髄での痛覚感作両方に関与している可能性と、BLT1拮抗薬の有効性が示唆された。