著者
伊藤 信義 嵯峨山 敏 嵯峨山 徹 石川 羊男 三浦 順郎 楠 徳郎 山村 武平 森垣 驍 中井 亨 辰己 葵 琴浦 義尚
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.804-810, 1976

膵頭十二指腸切除術の直接成績向上のためには, 閉塞性黄疸に対する術前処理と安全確実な膵空腸吻合を行うことであろう.前者はPTC-Dによる減黄策がほぼ確立された.著者らは後老に対する試策として, 1回目の手術では膵空腸吻合を置かず若干の工夫を凝らして膵液を体外に誘導, 後日膵断端部の安定した頃に, 改めて2期的に膵空腸吻合を行うことを考案, これを14例に施行し, 第1期, 第2期を通じて同部での合併症はなく, 安全な膵空腸吻合を行い得た.第1期手術と2期的膵空腸吻合施行との期間は平均36日間で, この期間を利用して, 残膵機能検査や, また第2期手術にそなえての切除標本の組織学的検索に寄与する利点も得られた.