著者
堀 公行 西村 和夫 光野 孝雄
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.11, no.8, pp.636-642, 1978-08-01

脳疾患時,とくに脳外科手術後に生ずる出血性ストレス潰瘍例は,ほとんど意識障害を有し,その原病の重篤さとともに止血対策に苦慮することが多い.私どもは過去に経験した19例につき,開腹手術への適応時期を検討し,さらにその胃手術法につき述べる.開腹手術の適応として,潰瘍出血による脳病変の悪化を防ぐことに重点をおき,そのため意識障害を指標として,たとえ輸血量が1000ml/日以下でも,出血によって意識障害が遅くとも半昏睡に陥いる前に開腹手術を行うべきである.この際手術法として潰瘍病変の広がりと,胃切後もまだなおつづくとみられるストレスによる残胃十二指腸の再出血を抑制することなどから,小弯を多く切除する亜全摘に近い広範胃切除術に幹迷切術を併施することが最良であると強調した.