著者
林 〓 江本 祐子 福田 五月 伊藤 修宏
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.117-130, 1987-12-25
被引用文献数
1

都市近郊里山地帯の土地利用については,利用内容の設定,維持管理手法の策定いずれの面からも,在来型の農林業の枠では律し切れない現実にある。各都市において都市化の進展度,パターンの相違はあっても,それぞれ里山森林地帯の維持管理に,新しい試みか行い,定着させる必要性に,共通して直面している。本報告では里山地帯の農業の安定形態と森林利用の高度化を達成するための方式を明らかにするために,鶴岡市,山形市,栃木市,尾道市,高松市,宇和島市,日田市,長崎市の8都市について分析した。その結果,森林のみに限れば,利用・保全の基本的枠組みは,(1)区域設定のもとに基本的な枠組みがされる,(2)条例制定による制度体系により枠組みがされる,(3)市街地緑化と連動して里山森林地帯の保全を図る,という3方式を確認し得た。
著者
林 〓 江本 祐子 福田 五月 伊藤 修宏
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.93-116, 1987-12-25
被引用文献数
1

都市近郊の里山地帯は,都市成長のインパクトによって変貌させられて行くが,森林及び農地としての利用と都市化のベクトルとは,相互に交錯する場合と,画然と区分されて働く場合と,二通りのタイプがある。前者の場合は,両ベクトルの連関を調整し,どのように併存ネットワークを形成するか他都市空間構成上の問題となるのに対して,後者の場合は,両者の均衡点をどう設定するのかが問題となる。本研究では,鶴岡市・山形市(山形県),栃木市(栃木県),尾道市(広島県),高松市(香川県),宇和島市(愛媛県),日田市(大分県),長崎市(長崎県)の8都市を選んで,都市域内における土地利用の変化,農地及び森林の減少過程,土地利用パターン,都市域発展ベクトルの解析を行った。その結果,土地利用区分の配置モデルとして,次の5モデルを設定し得た。(1〜3は従来得ていたモデルである)1.森林と農地とが大きく2分割され,その間に混在地が介在する。3.森林と混在地とが2分割されて配置される。3.新興住宅地が広く配置され,高密な都市化が進展し,森林はその外側に残置される。4.市街地・混在地・新興住宅地(都市部)を農地が囲み,その外側を森林が囲む。5.都市部を森林が囲む。以上の5つのモデルによって,わが国の都市の空間構成の典型を示すことができよう。