著者
京泉 秀明 伊藤 光哉 山田 純嗣 鈴木 敏光 久光 久
出版者
特定非営利法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.639-647, 2008-12-31
被引用文献数
1

レジンセメントで合着したコンポジットレジンインレーの物理的性質や審美性を改善するため,フロアブルレジンの合着材としての可能性について検討している.本研究の目的は,フロアブルレジンの被膜厚さおよびインレーを通過した照射光によるフロアブルレジンの重合状態について検討することにある.試験材料として11種類のフロアブルレジン,1種類のラミネートベニア合着用レジンおよび比較材料として1種類のレジンセメントを使用した.各材料を2枚のガラス板の間に挟み,3種類の温度環境下(4,23,37℃)においてそれぞれ150Nで10分間加圧した.光照射後,材料の被膜厚さを測定した.また,接着材料の厚みも弱圧(0.05MPa)および強圧(0.10MPa)によるエアーブロー後,光照射し,それぞれ測定した.フロアブルレジンの重合状態は,0から5mmまでの厚みのコンポジットレジンインレーブロックを通して40秒間光照射した試験材料の表面硬さを測定することにより評価した.その結果,次の結論を得た.1.環境温度が上がると試験材料の被膜厚さは低下する傾向が認められた.2.試験材料の被膜厚さと強圧でエアーブローした接着材料の厚みの合計は,37℃において1種類のフロアブルレジンを除くすべての材料で合着用セメントの規格である25μm以下を満たしていた.3.コンポジットレジンインレーの厚みが2mmを超えると,試験材料の表面硬さが次第に減少する傾向が認められた.