著者
久保田 陽子 伊田 昌功 伊藤 宏一 加藤 浩志 辻 芳之
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.257-264, 2014

日本では諸外国に比し硬膜外麻酔を用いた無痛分娩の普及率は著しく低いが,当院では分娩例の約半数に無痛分娩を施行している.今回,2010年7月から2011年12月の間での無痛分娩症例において,後方視的に自然分娩例と比較し分析することにより,無痛分娩が分娩や新生児に与える影響を明らかにすることを目的とした.無痛分娩群では自然分娩群と比較して,回旋異常発生率・陣痛促進剤使用率・吸引分娩施行率・分娩所要時間(分娩第1期・分娩第2期)が有意に上昇したのに対し,緊急帝王切開移行率・分娩時総出血量は両者で有意差を認めなかった.新生児への影響に関しては,Apgar score,臍帯血pHには有意差を認めなかった.臍帯血BEにおいては両群間で有意差を認めるも,ともに正常値の範囲内であり,以上より無痛分娩が新生児へ悪影響を及ぼすことはないという結果になった.無痛分娩による母体合併症として,当院では2例の硬膜穿刺後頭痛を経験したが,いずれも保存的治療のみで症状は軽快し,うち1例では次回分娩時にも無痛分娩を希望した.以上より,分娩帰結に差がないことを考えれば,痛みのない分娩を選択でき得ることは妊婦にとって大きな助けになると思われる.〔産婦の進歩66(3):257-264,2014(平成26年8月)〕
著者
伊藤 宏一 社団法人自動車技術会関東支部学生自動車研究会
出版者
東京都立航空工業高等専門学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:03871355)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.153-159, 2001-10

都市部道路の交通容量の改善は,早急には実現困難であり,即効性のある改善策が求められている。通勤時間帯の渋滞の列を眺めていると,ドライバーだけの5人乗りの自動車が延々と連なっているが,もっと小さな自動車でも事足りるケースが多いと思われる。日本における10番目の自動車メーカーである株式会社光岡自動車のMC-1は,原動機付き自転車と同じ排気量49ccのエンジンを,全長が2mにも満たない小さな車体に搭載した省スペース・省燃費な自動車,まさにマイクロカーである。マイクロカーは,自動車に伴う環境問題やエネルギ問題に対する一つの解決策として,もっと普及しても良い筈であるが,今ひとつ普及していない。この原因として,その存在そのものが一般に知られていないこと及び,その動力性能,経済性,安全性などが紹介されていないことがある。そこで,シティ・コミューターとして極めてユニークな存在と言えるMITSUOKA MC-1を取り上げ,日産ディーゼル工業株式会社の茂木テストコースを用いて実車試験を実施し,定量的にその性能を明らかにすることにした。