著者
藤井 敏弘 伊藤 弓子
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.99-104, 2018-06-20 (Released:2018-06-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

光照射は活性酸素の生成を引き起こし,カルボニル化などのタンパク質修飾を誘発する。このカルボニル化タンパク質の形成は酸化ストレスのマーカーとして用いられてきている。ケラチンフィルムは日常生活レベルにおけるUV照射に起因するカルボニル化タンパク質を検出するための有効な生体材料であることが知られている。従来までは困難であった長波長UVA~高エネルギー可視光線(HEV)(380~530 nm)においてのカルボニル化タンパク質形成がこのフィルムの使用により確認でき,ソーラーシミュレータ(300~2500 nm)照射と比べて約40%もの生成量が認められた。代表的なUV吸収剤であるベンゾフェノン-3およびメトキシジベンゾイルメタンは,UVA~HEVによるカルボニル形成への阻害効果は低かった。可視光線の中で,ブルーライト/HEV(400~500 nm)が緑色光(500~550 nm)と赤色光(600~700 nm)照射と比べ,より高いカルボニル形成も引き起こすことが示された。