- 著者
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伊藤 明己
- 出版者
- 関東学院大学経済学部教養学会
- 雑誌
- 自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
- 巻号頁・発行日
- no.46, pp.81-108, 2009-01
本稿では、ブルデューの社会的再生産論における趣味に関する議論を検討することを通じて消費のもつ社会性のある側面を考察する。まず、かれの流行論を端緒としながら、再生産論の概要を紹介しその運命論と趣味との関係を検討する。さらに、中間芸術に関するメディア消費への論考から、ブルデューの社会観における宿命論の揺るぎなさと文化のゲームへの参加者たちの消費への意味づけを考察する。ブルデューにおける趣味論は、反『判断力批判』としての社会的判断力批判であり、その観点からすると趣味は人びとの社会内での位置づけを強く反映したものである(以上は上)。(下では)こうしたブルデュー理解から、集団的信仰にあたいする文化的ヒエラルキーへの投資に社会的存在を賭ける人びとの姿を導く。この点をさらに考察し、消費が人間崇拝をめぐる社会の紐帯となるべき道徳的な義務との深い関わりとそこからの逸脱を含む意味を持つものとして取り上げられていることを論じる。