著者
伊覇 龍信
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PH-014, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

アニメPSYCHO-PASS内での完全で完璧に統制された法システムであるというシビュラシステムが一般の人々に受け入れられる可能性を手続き的公正という観点から進化心理学的な解釈を交え研究した。シビュラシステムによる即時・即決・即罰的な法システムは人間が行う裁判より分配的公正という点では圧倒的に優位に立つが,今までに研究されてきた手続き的公正の概念では人々の理解を簡単には得られない可能性が高い。先行研究では分配的公正を達成する為に手続き的公正が利用されると主張する道具モデルや手続き的公正そのものが価値を持つと主張する集団価値モデルなどが提唱されてきたが,本研究では手続き的公正は分配的公正の代わりに用いられると仮定し,さらには進化的適応環境に培われた認知容量を超えると人々は分配的公正と手続き的公正のどちらも重視しなくなると予測する。オンラインアンケートを用いて人々が異なるシチュエーションにおいて分配的公正と手続き的公正のどちらをより重視するか調査した結果,想定される集団サイズが増加するにつれて分配的公正と手続き的公正のどちらにも無関心になることが確認された。