- 著者
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諏訪 勝志
藤井 亮嗣
井舟 正秀
坂井 志帆
伊達 真弥
川北 慎一郎
- 出版者
- 公益社団法人日本理学療法士協会
- 雑誌
- 日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
- 巻号頁・発行日
- vol.2004, pp.E0172-E0172, 2005
【はじめに】今回、転倒による入退院を繰り返し、転倒予防を目的に訪問リハを開始し、効果を認めた症例を経験したので、若干の考察を加え報告する。<BR>【症例紹介】女性、83歳。HDS-Rは24点で痴呆は認めないが、性格は、せっかちで他人の言うことはあまり聞き入れない。自分の歩行能力を理解しておらず、転倒に対する認識は低い。歩行能力は、入退院を繰り返したが、毎回退院時にはピックアップ歩行器自立レベルとなっていた。介護度は、要支援である。<BR>【転倒歴】平成9年に転倒により左大腿骨頚部骨折受傷する(他院で治療)。平成14年12月7日自宅にて転倒し、右大腿骨頚部外側骨折のため平成15年4月25日まで入院する。平成15年5月12日自宅トイレにて転倒し、右骨盤骨折のため9月16日まで入院する。平成16年1月1日ポータブルトイレ移乗時に転倒し、左骨盤骨折のため5月1日まで入院する。<BR>【家族構成】息子夫婦と3人暮らし。息子は、住職で日中家にいることは多いが、大学の臨時講師、文化教室などをしており多忙で介護をする気持ちはない。嫁はくも膜下出血後遺症のため、麻痺はないが失語症があり介護は困難な状態である。<BR>【家屋状況】最初の当院退院時(平成14年入院時)に家屋評価を行っている。家屋は、寺に隣接した住居で廊下は広く、敷居が多い。段差解消と手すり設置、家具・テーブルなどの位置変更をすすめるが、家族は拒否する。通所サービスの利用も拒否する。相談の結果、トイレの手すり設置と症例の居室の出入り口のみ段差解消を行う。家内の移動は、ピックアップ歩行器を使用し、夜間はポータブルトイレ使用とした。浴室に手すりはつけず、ホームヘルパーによる介助入浴を行うことになる。<BR>【訪問リハの内容】平成16年5月1日退院時にケアマネージャーと相談し、今後も転倒の危険性が高いことから、訪問リハによる転倒予防指導を家族に提案し、了解を得る。訓練内容は、下肢筋力強化と歩行訓練だが、毎回本人に対する転倒への注意と活動範囲での動作指導を徹底して行った。訪問頻度は、家族より限度額以内にしてほしいとの条件があり、週1回のヘルパー利用があるため、一月に1~2回となる。<BR>【考察】転倒を繰り返した原因として、本人・家族ともに転倒に対する認識が低く、本人のやりたいようにしていたこと、自宅改修による安全性向上ができなかったことが考えられた。その結果、転倒を繰り返したが、本人・家族ともに全く気にしていない状態であった。しかし、訪問リハ導入により、病院ではできなかった実際の生活場面での指導を継続して繰り返し行ったため、特に本人が転倒に少しずつ気をつけるようになってきた。その結果、訪問リハ開始となってから、現在まで転倒はなく、効果はでていると思われる。今後は、訪問リハの内容を検討しながら、フォローしていく必要性を感じています。