著者
伴 義孝
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.23, 2018 (Released:2018-12-01)
参考文献数
40

オリンピズムは近代オリンピックの復活を提唱したクーベルタンの造語である。造語は1962年の大島邦訳書『ピエール ド クベルタン オリンピックの回想』によれば「オリンピック主義」と直訳されている。他方で2015年版の『オリンピック憲章』は今日的なオ リンピズムの解釈として二つの基本的な指標を提示している。ひとつは「肉体と意志と精神」のすべてにおいてバランスのよい結合を目ざす「生き方の哲学」であって、他は「スポーツを文化と教育へ融合させる」ために「生き方の創造」を探求するものである。ところで1936年のクーベルタンは「私のオリンピズムは、まだ、任務の半分を象徴しているのにすぎない」と書き遺している。本稿では、クーベルタンのその最後の希望に焦点を当てて、 またジャーナリストとしての大島鎌吉が関与してきた日本におけるオリンピック運動を点検することにおいて、オリンピック運動の理念「オリンピズム」における核心的な課題について検討してみる。