- 著者
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伴 貞彦
- 出版者
- 神戸市看護大学短期大学部
- 雑誌
- 紀要 (ISSN:13428209)
- 巻号頁・発行日
- no.19, pp.119-124, 2000-03
左利き(者)の大脳半球言語中枢の側・部位・症状などについては従来種々の意見があるが,近年CT,MRIの出現によりかなり明確となってきた,今回これらについて文献的考察を行った。左利き(者)の診断は,坂野の5項目を点数化した方法が簡便であり,その頻度は,民族に関わらず約10%と考えられる。利き手と大脳優位性(側性化)の関係は,右利きでは左半球が95〜96%,右半球が4〜5%と圧倒的に左半球が主で,また左利きでは左半球が61〜70%,右半球が15〜19%,両半球が15〜20%と多彩であった。また左利き(者)では失語症の発現率は,右利き(者)より一般的に高く,重度者は少なく予後も良好とする報告が多いが,異論もある。近年リハビリでの言語療法の重要性が増し,さらにCT・MRIの出現により左利き患者の失語症・高次脳機能障害の責任病巣の所在の追求・研究が発展している。左利きに対する親や社会の認識も改善され,以前ほど無理な利き手矯正は少なくなったが,その是非についてもなお種々の意見がある。