著者
中島 大介 白石 元 杉 基嗣 住浦 誠治
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.568-570, 2017-09-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

【目的】スポーツにより発症した第1肋骨疲労骨折の3例を経験したので報告する.症例1は14歳男性でスポーツは軟式テニス,症例2は14歳男性でスポーツは剣道,症例3は17歳男性でスポーツは野球であった.全例で明らかな外傷なく発症し,スポーツを禁止し自然に軽快した.第1肋骨疲労骨折の疼痛部位については,多くが第1肋骨部でなく肩甲部痛であったと報告されており,症例3では疼痛部位が異なるため診断に難渋した.また画像診断についても,単純X線正面像では,第1肋骨疲労骨折の好発部位である第1肋骨の鎖骨下動脈溝が,鎖骨や第2,3肋骨と重なりやすく,診断に難渋する場合があるが,単純X線で上から15~30度での撮影や,下から60度での撮影が有用である可能性がある.
著者
住浦 誠治 山本 学 長弘 行雄 池田 慶裕 武藤 正記
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.828-831, 2012-09-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
12

(目的)ばね指に対するトリアムシノロン腱鞘内注射後に屈筋腱断裂をきたした症例を経験した.(症例)37歳,男性.左小指の弾撥現象と疼痛を生じ,近医でトリアムシノロン腱鞘内注射を2回施行され症状消失した.半年後に再発.他医でさらにトリアムシノロン腱鞘内注射を3回行い症状は消失していた.最終腱鞘内注射後6カ月,力を入れた際,急に音がして左小指DIP関節が屈曲できなくなった.腱移植により深指屈筋腱の再建を行った.その際腱鞘にはトリアムシノロンと考えられる白色沈殿物の沈着が認められた.腱剥離術後3カ月で可動域はFull Rangeとなった.(考察)腱鞘炎にトリアムシノロンが著効するとして臨床の場では多く使用されている.しかし合併症として皮膚炎,脂肪萎縮,腱断裂が報告されている.しかし腱断裂の報告は稀である.本症例では結晶誘発性腱鞘炎を併発しており,トリアムシノロンの腱自体の直接作用により腱の脆弱性をきたと考える.