著者
佐々井 敬祐 岡田 朋子
出版者
新潟歯学会
雑誌
新潟歯学会雑誌 = 新潟歯学会雑誌 (ISSN:03850153)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.45-48, 1994-06

DBSとExpansion-Screw付き床副子にて整復固定を行った上顎骨縦骨折の1例を報告する。上顎骨縦骨折は,主として上顎正中部にみられ,前歯部歯槽突起の骨折線が梨状口に達するもので,鼻腔底,口蓋骨の骨折を伴い,歯列が開大して咬合不全を示すことが多い。治療は,上下顎にDBSを装着して顎間ゴムにて牽引整復を試みたが,整復が困難なため,上顎にExpansion-Screw付き床副子を装着して,このレンジ床副子を収縮させて,非観血的に整復を行った。この床副子を用いた上顎骨縦骨折の整復は,非常に容易で,患者に不要な疼痛を与えることなく,短時間に整復が可能であった。また,整復後にDBSとこの床副子にて顎内固定を行い,顎間固定は,まったく行わなかった。顎内固定期間は,92日間で,咬合状態は非常に改善され,予後は良好であった。