著者
石井 大輔 柳 哲雄 佐々倉 諭
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.217-236, 2014-11-15 (Released:2019-02-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

赤潮の発生規模や発生状況を評価できる指標として提案された赤潮指数をはじめとする赤潮基礎データセット(1979―2004年)をもとに,瀬戸内海における赤潮関連情報の経年的な変動傾向や赤潮優占群の海域特性について検討評価を行った。瀬戸内海(大阪湾以外)と大阪湾における赤潮指数の時間変動特性を解析した結果,瀬戸内海(大阪湾以外)における赤潮指数の長期変動は1990年付近を極小とした増減傾向を示す一方,大阪湾のそれは約30年間顕著な減少傾向を示すことが判明した。また,瀬戸内海(大阪湾以外)では主に全天日射量,大阪湾では陸域からの寄与が大きい栄養塩濃度が赤潮指数の長期変動を決める要因であることを示唆する結果を得た。さらに,赤潮構成種ごとに整理した分類群別(珪藻群・非珪藻群・複合群)の赤潮指数から算出した赤潮優占率をもとに,瀬戸内海(大阪湾以外)および大阪湾における赤潮の卓越群について調べた結果,瀬戸内海(大阪湾以外)では全般的に非珪藻群が優占する一方,大阪湾では非珪藻群から珪藻群へ長期的に優占群が遷移するパターンが確認された。