著者
佐々木 ゆり
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.42, pp.137-144, 2007

本稿では、日本の英語教育において比較的新しい概念である「コミュニケーション能力」について、文献からの解釈を基盤としてその定義を確認する。さらにコミュニケーション能力の獲得のための具体的な方策として、CLT(Communicative Language Teaching)に言及し、新しい概念を実現するために指導者に求められる新しい役割についても提言したいと考える。
著者
佐々木 ゆり
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究においては、これまで実践が先行しがちであった小学校英語活動について、実践の基盤となる理論と併せて、コミュニケーション中心の英語活動を実現するための教員養成のプロセスを考察した。「コミュニケーション能力」については、必要性と目的を伴った相互作用の中で言語を使用するということが、また「子どもの(言語)学習過程」については、子どもが(1)自分がおかれた環境と関わる方法を自ら活発に探り、(2)環境との相互作用の中で状況を把握し、(3)自分の学習可能領域の範疇にある事柄を学び、その学びは(4)環境の中で利用できる手助けによって支援・促進されるという特徴が文献の分析から浮かび上がった。つまり、小学校英語活動はコミュニケーション中心という英語教育の構造的改革と、その実践のための教員の役割の再定義との双方を同時に進めていかなければならない状況にある。そのためには、英語活動の内容に関しては(特に導入期において)学習者に潤沢な音声インプットを与え、学習者が目標言語を使用する機会をできるだけ増やし、言語使用が自然に起こるような場面設定が必要となり、英語活動を担う次世代の小学校教員にはこれらのことを実現するための実践的なトレーニングが必要となる。本研究ではカリキュラム作成にプロジェクト形式を採用し、プロジェクト中の小テーマをそれぞれ3段階(歌やチャンツでの導入、小グループでの練習、アクティビティやゲームなどによる強化)で構成し、また指導には学生をアシスタントとして参加させた。これにより、学習者にとっては必要性と目的をもった学習場面を、また学生には新しい構造の英語教育を体験的なトレーニングの形で提供することができた。