著者
佐々木 三男 荻野 夏子
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

高照度光が深夜勤務中の看護婦の眠気や気分、さらに夜勤明けの日中睡眠へどのような影響を及ぼすかを検討した.対象は研究の主旨を説明して同意を得た3交替勤務に従事している健康な看護婦20名である.被験者の背景因子については、活動型をMorningness-Eveningness Scale(朝型-夜型スコア)で把握し、20日間の睡眠日誌をつけて睡眠持続時間と睡眠前後の自覚的評価を100mmアナログスケール(VAS)で記録した.さらに20日間の検査期間中に、20人中8名の被験者には1)深夜勤務中にナ-スステーションで12時から午前3時まで、2500ルックスの高照度光下で勤務をしてもらい、光照射前後の疲労度(労研式)、眠気、気分の変動を2時間おきに記録した.深夜勤務終了後、夜勤明けの睡眠を自宅で記録した(Bright light:以下BL条件とする).2)さらに同じ8人の被験者には光照射をしない光装置の前で同じように深夜勤をしてもらい、勤務中と明け睡眠記録を同様に行なった(Dim Light:DL条件とする).日中の睡眠検査は深夜勤務明けの自宅で行なった.記録装置は、加速度と光センサーを利用し体動と光の照度をを連続的に測定出来る、米国A.M.I.社製の光検知付きアクティラム(活動計)を使用した.なお昼間睡眠前後の自覚的睡眠評価も併せて行なった.「結果」BL条件では午前6時の眠気(41.50±28.34)は、DL条件(68.86±16.73)に比較して低く(p<0.05)、午前6時の疲労感もBL条件で低く、深夜勤務の高照度光照射は勤務中の眠気や疲労の軽減に有効であると推定された.