著者
奥野 智也 佐々木 勇和 鈴木 雄太
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.22-31, 2020-07-16

所望の物理化学的な性質を持つ新たな物質の探索は化学,創薬,物質・材料科学などの分野において重要な課題である.従来のアプローチは研究者の勘や経験に大きく依存し,また時間的なコストが高いという問題がある.そのため,探索の効率化を目的として,機械学習やデータマイニングなどの情報科学の技術を取り入れた研究がさかんに行われている.近年では深層学習技術を用いた高精度化が進んでいる.そこで,本稿では新物質探索における深層学習技術を網羅的に調査し体系的にまとめることを目的とする.新物質の探索技術を(1)物質構造からその性質を識別する分類と回帰技術,および(2)性質から物質を導出する生成技術に大別し,それぞれの技術の適用分野,データの分類,および深層学習のモデルについて述べる.さらに,既存技術の制約や問題点を述べ,今後の課題を明確にする.
著者
佐々木 勇和 原 隆浩 西尾 章治郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.175-186, 2011-01-15

アドホックネットワークでは,膨大なデータの中から必要なデータのみを効率的に取得するため,端末が何らかの値(スコア)によって順序付けられたデータの上位k個のものを検索するTop-k検索を用いることが有効である.本論文では,アドホックネットワークにおいて,トラヒックの削減と検索結果の取得精度の低下を抑止を目的とするTop-k検索手法を提案する.提案手法では,各端末がヒストグラムを作成し,ネットワーク全体のk番目のスコアを推定する.次に,推定したk番目のスコア以上のスコアを持つデータを返信することで,できる限り検索結果に入るデータのみを返信する.また,返信先の端末とのリンク切断を検出した端末は,他の隣接端末にクエリ応答を返信することで,検索結果の取得精度の低下を抑止する.In mobile ad hoc networks , to acquire only necessary data items, it is effective that each mobile node retrieves data items using a top-k query, in which data items are ordered by the score of a particular attribute and the query-issuing mobile node acquires data items with the k highest scores. In this paper, we propose a query processing method for top-k query for reducing traffic and also keeping high accuracy of the query result. In this method, each node constructs a histogram and estimates the k-th score in the entire network. When transmitting a reply, each mobile node sends back only data items whose scores are larger than the estimated k-th score to reduce traffic as much as possible. Moreover, when a mobile node detects the disconnection of a radio link, it sends the reply to another neighboring node to keep high accuracy of the query result.