著者
奥野 智也 佐々木 勇和 鈴木 雄太
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.22-31, 2020-07-16

所望の物理化学的な性質を持つ新たな物質の探索は化学,創薬,物質・材料科学などの分野において重要な課題である.従来のアプローチは研究者の勘や経験に大きく依存し,また時間的なコストが高いという問題がある.そのため,探索の効率化を目的として,機械学習やデータマイニングなどの情報科学の技術を取り入れた研究がさかんに行われている.近年では深層学習技術を用いた高精度化が進んでいる.そこで,本稿では新物質探索における深層学習技術を網羅的に調査し体系的にまとめることを目的とする.新物質の探索技術を(1)物質構造からその性質を識別する分類と回帰技術,および(2)性質から物質を導出する生成技術に大別し,それぞれの技術の適用分野,データの分類,および深層学習のモデルについて述べる.さらに,既存技術の制約や問題点を述べ,今後の課題を明確にする.
著者
鈴木 雄太
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.622-623, 2023-10-15

優れた材料を開発するためには,高精度なシミュレーション技術が重要ですが,膨大な計算コストが課題となります.もし物理法則の計算を機械学習で代替したら,シミュレーションを高速化できないでしょうか?本稿では,グラフニューラルネットワークを用いた予測によって材料の原子レベルのシミュレーションを超高速化する技術であるM3GNetを取りあげ,背景およびその後とともにナナメ読みします.
著者
滝澤 恵美 鈴木 雄太 小林 育斗
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.127-132, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

〔目的〕異なる股関節肢位でスクワットを行い,大内転筋が発揮する伸展トルクの特徴から役割を検討した.〔対象と方法〕健常男性1名が股関節内外転,回旋中間位(NS)と外転,外旋位(SS)でスクワットを行い,大内転筋と股関節伸展筋が発揮する伸展トルクを筋骨格モデルを用いて推定し,比較した.〔結果〕NSとSSともに,大内転筋や大殿筋,大腿二頭筋長頭が発揮する伸展トルクは半膜様筋や半腱様筋よりも大きかった.〔結語〕大内転筋は,前額面や水平面の股関節肢位に関わらず,中腰姿勢を伴う動作に対して抗重力筋の役割を有すると推察された.
著者
金田 和輝 前田 慶明 鈴木 雄太 寺田 大輝 小宮 諒 浦辺 幸夫
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.117-123, 2022-10-31 (Released:2022-11-19)
参考文献数
20

本研究は,緊急事態宣言発令による生活環境の変化が,健常水泳選手とパラ水泳選手の生活範囲と精神的健康に与えた影響を検討することを目的とした.緊急事態宣言発令中と解除後にアンケート調査を行い,生活範囲と精神的健康の変化を確認した.生活範囲は全対象者で解除後に増加し,精神的健康は女性パラ水泳選手のみ有意に低値を示した.女性パラ水泳選手では,生活環境の変化により精神的健康が変化しやすい可能性がある.
著者
千島 拓朗 成田 晋吾 大滝 学 高田 淑子 鈴木 雄太 木村 雄太 太田 孝弘
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター年報 = Miyagi University of Education Information Processing Center (ISSN:13404113)
巻号頁・発行日
no.14, pp.30-36, 2007-03-31

天文分野の学習では、昼間に観察できる対象が少ないために、コンピューターや情報機器を活用して授業を行うことが多い。そこで、宮教大インターネット天文台を利用して、学校を対象に金星と月のインターネットライブ中継を行った。学習時期に合わせて、金星のライブ中継は2005年10月から12月、2006年11月から2007年1月まで、月のライブ中継は2006年10月から2007年1月までの平日の晴天日、10時から15時まで公開した。天体のライブ映像を公開することで、教室の中でリアルタイムの天体観察を行うことが可能となり、初等・中等教育で重要視される体験や対象を取り入れた授業を行うことができる。2005年には、中学校で宮教大インターネットライブ中継を用いて金星の観察を取り入れた授業を行った。授業中に金星の満ち欠けについて、リアルタイムで天体を観察することは、生徒の興味を惹きつける有効な教材であることがわかった。
著者
鈴木 雄太 糸井川 栄一
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.253-262, 2019-11-01 (Released:2020-05-08)
参考文献数
17

After an earthquake, real-time evacuation guidance, which guides inhabitants to safe site from danger area based on fire information, is important as an emergency measure against simultaneous fires. In this study, we optimized a realtime route considering incompleteness of fire information. First, we constructed the stochastic model called “evacuation probability”, which is the probability that evacuee can reach evacuation site without encountering an undetected fire. Second, we maximize an evacuation probability on a real-time route under condition of securing a specified value of “safe margin of evacuation”, which means maximum tolerance on a deviation between a forecasted fire speed and an actual one. Finally, we discussed characteristics of the route with visualizing and analyzing results of simulations.
著者
鈴木 雄太 浦辺 幸夫 前田 慶明 笹代 純平 森田 美穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.209-212, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

〔目的〕競泳選手と非競泳選手の上肢挙上時の脊柱アライメントの変化の違いを探るため,立位とストリームライン(以下,SL)での脊柱アライメントを比較した.〔対象〕競泳群26名,非競泳群20名とした.〔方法〕Spinal Mouse®を用いて立位とSL立位の胸椎,腰椎および骨盤のアライメントの変化量,SL立位での上肢挙上角度を測定した.〔結果〕競泳群では上肢挙上角度が大きな対象ほど,胸椎の後弯,腰椎の前弯,骨盤の前傾が小さかった.非競泳群では,いずれの変化量も上肢挙上角度と有意な相関は認められなかった.〔結語〕上肢挙上角度が大きい競泳選手は胸椎の伸展運動によって腰椎前弯と骨盤前傾を小さくすることが可能であることが示された.
著者
岡田 泰河 鈴木 雄太 吉田 康兵 浦辺 幸夫 白川 泰山
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.115-118, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)

目的:重度栄養障害を呈した大腿骨頚部骨折患者に、体重を指標として多職種で連携することで、栄養状態が改善し自宅退院した症例を経験したので報告する。 症例紹介:症例は人工骨頭置換術を施行し、当院へ転入院した80代の女性であった。入院時の体重は35.9kg、Body Mass Index (BMI): 15.5、平常時体重比71%で重度栄養障害であった。 経過:運動療法は運動強度を3METs以下とし、日常生活動作獲得を目的に1日6~8単位実施した。病棟で集団リハビリを行い、補食としてゼリー飲料と野菜ジュースを摂取した。入院4週後に体重は4.8kg増加し40.7kg、BMI 17.6、平常時体重比80%で中等度栄養障害となり、5週目に3.5METs程度の筋力強化練習を開始した。11週目に栄養指導を実施し、12週目まで体重40kg程度を維持し自宅へ退院した。 結論:体重を指標として多職種で連携することは日常生活動作の獲得に有効と考えられた。
著者
田城 翼 浦辺 幸夫 鈴木 雄太 酒井 章吾 小宮 諒 笹代 純平 前田 慶明
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.83-87, 2020-03-31 (Released:2020-08-21)

目的:足関節捻挫を受傷した選手は、医療機関で受療せずに競技復帰する場合が多く、「たかが捻挫」と足関節捻挫を軽視している可能性がある。本研究では選手が足関節捻挫受傷後の治療の重要性をどのように捉えているかを調査した。 方法:大学男子サッカー選手235名を対象として、インターネットによるアンケート調査を実施した。 結果:90名(38%)の有効回答のうち、70名(78%)が足関節捻挫を経験していた。受傷後、医療機関を受診した者は37名(53%)で、そのうち28名(76%)は継続的に通院し、治療を受けていた。医療機関を受診しなかった、または通院を中止した理由は、「治療しなくても治ると思ったから」という回答がそれぞれ最多であった。 結論:治療しなくても治ると思っていた選手は、足関節捻挫受傷後の治療の重要性を認識できていない可能性がある。このような選手に対して、足関節捻挫の治療の啓蒙が不可欠である。
著者
滝澤 恵美 鈴木 雄太 伊東 元 鈴木 大輔 藤宮 峯子 内山 英一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100534-48100534, 2013

【はじめに、目的】股関節内転筋群の内転作用以外は諸説あり不明な点が多い。これは,関節の肢位によって筋の作用が変化することが関係している。本研究は股関節の角度変化に伴う股関節内転筋群のモーメントアームの変化を調べ,その作用を検討した。なお,本研究ではDostalら(1981,1986)の方法(モーメントアーム・ベクトル,以下MAV)を用いてモーメントアームの各成分(屈曲/伸展,内転/外転,外旋/内旋)を算出した。【方法】1. 材料:死亡年齢84 〜98 歳(平均90 歳)の未固定標本5 体の右下肢を用いた。神経筋疾患を有した遺体,関節拘縮が見られる下肢は除外した。標本は骨盤〜大腿骨部分を使用し,関節包および恥骨筋(PE),短内転筋(AB),長内転筋(AL),大内転筋(AM)を残して計測した。なお,AMは大腿深動脈の貫通動脈を基準に4 つの筋束(AM1-AM4)に分けた。2. 計測:骨盤を木製ジグに固定し,大腿骨を屈曲・伸展方向に同一験者が動かした。その際,磁気式3D位置センサー(Polhemus社製)を用いて,骨および筋の参照点の座標変化を記録した。参照点は,筋の起始部と停止部,上前腸骨棘,恥骨結合,大転子,外側上顆,大腿骨頭上の3 点とした。また,筋の起始部と停止部の直線距離を計測し,筋腱複合体の長さ(筋長)とした。3. データ処理:大腿骨頭上の座標と骨頭の半径から骨頭中心の座標を非線形最小2 乗法で求めた。骨頭中心座標と参照点を用いて直交座標系を構成し,関節座標系を定義した。骨盤側の座標系を絶対座標系(GCS),大腿骨側を移動座標系(LCS)とした。GCSとLCSの関係から関節角度を求めた。筋の張力方向は,停止部から起始部へ向かう単位ベクトルとした。更に単位ベクトルと筋の停止から骨頭中心に向かうベクトルの外積から3 軸(屈曲/伸展,内転/外転,外旋/内旋)のMAVを求めた。MAVは,筋が1Nの張力を発揮した時の各軸周りの関節トルクの大きさと向きを示す。4. 分析:大腿長で標準化されたMAVおよび筋長と股関節屈曲角度の関係を2 次式で近似した。得られた近似式を用いて,15 度間隔で股関節屈曲-15°から75°の範囲におけるMAVと筋長の値を求めた。最大値を示したMAV成分を主成分,主成分の50%以上の値を示した成分を二次成分とした。【倫理的配慮、説明と同意】使用した遺体は,本人および家族が未固定遺体として使用されることを同意している。なお,本研究は札幌医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】股関節屈曲-15°から75°の範囲で,AM4 を除く全ての内転筋群の主成分は内転成分であった。一方,AM1 とPEを除き,外旋/内旋成分は常に小さな値を示した。屈曲角度の増加に伴い,AM4 を除く全ての筋の屈曲/伸展成分が屈曲から伸展に転換した。AM2 とAM3 は,それぞれ股関節屈曲45 度,75 度以上で伸展成分が二次的成分になった。AM4 の伸展成分は屈曲0 度以上で二次成分,さらに45 度以上では主成分となった。ALは股関節伸展15°で屈曲成分が二次成分となった。AM1,PE,ABでは二次成分を認めなかった。いずれの筋束も二次成分を示す股関節肢位で筋長は伸長位にあった。【考察】全屈曲角度を通じて,AM4 を除く股関節内転筋群の主成分は内転であったが,屈曲/伸展成分は各筋で異なる特徴を示した。大内転筋のAM2-AM4 は股関節屈曲位において伸展作用を有すると示唆される。特に,AM4 は股関節屈曲45 度以上では主成分が伸展になることから,股関節伸展筋としての要素が強い。ALは従来股関節屈曲位において股関節伸展作用を持つとみなされていたが,股関節屈曲位におけるALの伸展成分はそれほど大きくなく,また筋が弛緩する肢位のため,伸展作用は小さいと考えられる。ALは股関節伸展位で二次成分に屈曲を示し,加えて筋も伸長位にあることから,股関節伸展位近傍で屈筋作用を持つ筋であると考えた。【理学療法学研究としての意義】股関節内転筋群は下肢を内転させるだけの筋ではない。股関節に対する長内転筋の屈曲作用や大内転筋の伸展作用は,腸腰筋やハムストリングスのサブモーターとして機能していると考える。このため,内転筋群は効果的な運動療法を行う上でもっと考慮すべき筋である。
著者
滝澤 恵美 鈴木 雄太 伊東 元 鈴木 大輔 藤宮 峯子 内山 英一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100534, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】股関節内転筋群の内転作用以外は諸説あり不明な点が多い。これは,関節の肢位によって筋の作用が変化することが関係している。本研究は股関節の角度変化に伴う股関節内転筋群のモーメントアームの変化を調べ,その作用を検討した。なお,本研究ではDostalら(1981,1986)の方法(モーメントアーム・ベクトル,以下MAV)を用いてモーメントアームの各成分(屈曲/伸展,内転/外転,外旋/内旋)を算出した。【方法】1. 材料:死亡年齢84 〜98 歳(平均90 歳)の未固定標本5 体の右下肢を用いた。神経筋疾患を有した遺体,関節拘縮が見られる下肢は除外した。標本は骨盤〜大腿骨部分を使用し,関節包および恥骨筋(PE),短内転筋(AB),長内転筋(AL),大内転筋(AM)を残して計測した。なお,AMは大腿深動脈の貫通動脈を基準に4 つの筋束(AM1-AM4)に分けた。2. 計測:骨盤を木製ジグに固定し,大腿骨を屈曲・伸展方向に同一験者が動かした。その際,磁気式3D位置センサー(Polhemus社製)を用いて,骨および筋の参照点の座標変化を記録した。参照点は,筋の起始部と停止部,上前腸骨棘,恥骨結合,大転子,外側上顆,大腿骨頭上の3 点とした。また,筋の起始部と停止部の直線距離を計測し,筋腱複合体の長さ(筋長)とした。3. データ処理:大腿骨頭上の座標と骨頭の半径から骨頭中心の座標を非線形最小2 乗法で求めた。骨頭中心座標と参照点を用いて直交座標系を構成し,関節座標系を定義した。骨盤側の座標系を絶対座標系(GCS),大腿骨側を移動座標系(LCS)とした。GCSとLCSの関係から関節角度を求めた。筋の張力方向は,停止部から起始部へ向かう単位ベクトルとした。更に単位ベクトルと筋の停止から骨頭中心に向かうベクトルの外積から3 軸(屈曲/伸展,内転/外転,外旋/内旋)のMAVを求めた。MAVは,筋が1Nの張力を発揮した時の各軸周りの関節トルクの大きさと向きを示す。4. 分析:大腿長で標準化されたMAVおよび筋長と股関節屈曲角度の関係を2 次式で近似した。得られた近似式を用いて,15 度間隔で股関節屈曲-15°から75°の範囲におけるMAVと筋長の値を求めた。最大値を示したMAV成分を主成分,主成分の50%以上の値を示した成分を二次成分とした。【倫理的配慮、説明と同意】使用した遺体は,本人および家族が未固定遺体として使用されることを同意している。なお,本研究は札幌医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】股関節屈曲-15°から75°の範囲で,AM4 を除く全ての内転筋群の主成分は内転成分であった。一方,AM1 とPEを除き,外旋/内旋成分は常に小さな値を示した。屈曲角度の増加に伴い,AM4 を除く全ての筋の屈曲/伸展成分が屈曲から伸展に転換した。AM2 とAM3 は,それぞれ股関節屈曲45 度,75 度以上で伸展成分が二次的成分になった。AM4 の伸展成分は屈曲0 度以上で二次成分,さらに45 度以上では主成分となった。ALは股関節伸展15°で屈曲成分が二次成分となった。AM1,PE,ABでは二次成分を認めなかった。いずれの筋束も二次成分を示す股関節肢位で筋長は伸長位にあった。【考察】全屈曲角度を通じて,AM4 を除く股関節内転筋群の主成分は内転であったが,屈曲/伸展成分は各筋で異なる特徴を示した。大内転筋のAM2-AM4 は股関節屈曲位において伸展作用を有すると示唆される。特に,AM4 は股関節屈曲45 度以上では主成分が伸展になることから,股関節伸展筋としての要素が強い。ALは従来股関節屈曲位において股関節伸展作用を持つとみなされていたが,股関節屈曲位におけるALの伸展成分はそれほど大きくなく,また筋が弛緩する肢位のため,伸展作用は小さいと考えられる。ALは股関節伸展位で二次成分に屈曲を示し,加えて筋も伸長位にあることから,股関節伸展位近傍で屈筋作用を持つ筋であると考えた。【理学療法学研究としての意義】股関節内転筋群は下肢を内転させるだけの筋ではない。股関節に対する長内転筋の屈曲作用や大内転筋の伸展作用は,腸腰筋やハムストリングスのサブモーターとして機能していると考える。このため,内転筋群は効果的な運動療法を行う上でもっと考慮すべき筋である。
著者
滝澤 恵美 鈴木 雄太 小林 育斗
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

抗重力動作における股関節内転筋の役割を検討するために、内転筋が発揮する股関節伸展筋トルクを大殿筋やハムストリングスと比較した。抗重力動作としてスクワット動作を選択した。三次元的に運動データと床反力データを収集し、筋骨格モデル(SIMM)を用いて各筋の伸展筋トルクを推定した。大殿筋と大内転筋は、ハムストリングスよりもより大きな伸展筋トルクを発揮した。大内転筋の抗重力機能はハムストリングスよりも大殿筋に類似するものであり、この筋は補助的ではなく主要な抗重力筋として機能するだろう。
著者
村田 宗紀 藤井 範久 鈴木 雄太
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.177-195, 2015 (Released:2015-06-13)
参考文献数
23
被引用文献数
4 1

Mechanical energy is known to be transferred between a body segment and a joint. However, the transformation of this energy has not been classified. By focusing on the racquet-holding arm during a tennis serve, the present study examined the transformation between translational and rotational energies due to the joint force, and investigated the kinetic chain from the viewpoint of energetics. Twenty-two tennis players were asked to perform flat services to the deuce side (i.e., the receiver's right side), and the three-dimensional coordinates of reflective markers attached to each player and racquet were collected with a motion capture system. The mechanical power acting on each segment and the mechanical energy generated/absorbed by each joint were divided into the following components: (1) STP=the time rate of change in the rotational energy of a segment due to the joint torque, (2) JTP=the generation/absorption of rotational energy due to the joint torque, (3) JFPt=the time rate of change in the translational energy of a segment due to the joint force, and (4) JFPr=the time rate of change in the rotational energy of a segment due to the moment of the joint force. The findings are summarized below. 1.  The proposed method can divide the power acting on the segment due to joint force into the translational component (JFPt) and the rotational component (JFPr). 2.  The racquet-holding arm mainly acquires mechanical energy as translational energy with decreasing rotational energy of the upper trunk (around right-leftward rotation). 3.  The main role of the shoulder joint is not to generate rotational energy but to change the energy form (from translational energy to rotational energy). 4.  The main role of the phase before most of the shoulder external rotation is to store the translational energy in the racquet-holding arm. 5.  The main role of the phase after most of the shoulder external rotation is to transfer the translational and rotational energies to the racquet. 6.  The proposed method can quantify not only the generation/absorption and transmission of mechanical energy but also the transformation of the energy form. Therefore, this method may produce new findings that have not yet been clarified.
著者
川井 智貴 浦辺 幸夫 前田 慶明 堤 省吾 沼野 崇平 小宮 諒 鈴木 雄太 藤下 裕文
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1274, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】近年,ダーツは生涯スポーツやレクリエーションとして注目されており,介護施設などでも取り入れられている。さらにダーツは身体機能回復の効果があるともいわれているが,どのような身体機能に対して効果があるかを示した報告は少ない。ダーツでは狙い通りにダーツを投げるために姿勢の安定性が重要なことから,高齢者でも楽しく実施でき,かつバランス能力改善を目的としたエクササイズとして使用できる可能性がある。本研究では,ダーツを継続することがダーツ投擲時の重心動揺にどのような影響を及ぼすかを若年者で検討し,今後高齢者がダーツを行うことの有用性について示唆を得ることを目的とした。【方法】対象は健常男性12名とし,ダーツ経験のない未経験群6名(年齢22.1±1.5歳,身長171.0±3.9cm,体重64.2±7.3 kg),2年以上の経験がある経験群6名(年齢29.8±5.3歳,身長165.2±7.4 cm,体重65.5±13.4 kg,経験年数3.4±1.1年)とした。対象は,裸足で重心動揺計(竹井機器工業)上のスローラインに立ち,前方237cm,上方173cmに設置したダーツボードの中心(直径4cm)を狙って,ダーツ投擲を20投刺さるまで行った。対象の利き手の肩峰,上腕骨外側上顆,尺骨茎状突起に直径20 mmのマーカーを貼付し,デジタルカメラ(Power Shot A2600,Canon)1台を25Hzに設定し,3m側方から撮影した。Image J ver. 1.48(NIH)で算出したマーカーの座標データをもとに,解析区間を肘関節屈曲開始時(投擲前のテイクバック開始時)から最大伸展時(投擲後のフォロースルー終了後)と定義した。分析項目は,ダーツボードの中心から刺さったダーツまでの距離(cm),解析区間内の単位軌跡長,前後方向単位軌跡長,左右方向単位軌跡長とした。統計学的解析は,各算出項目の群間比較に対応のないt検定を用い,危険率5%未満を有意とした。【結果】ダーツボードの中心から,刺さったダーツまでの距離は経験群が3.7±1.0 cm,未経験群が8.2±0.9 cmであり,経験群はより中心に近い位置に投げることができた(p<0.05)。ダーツ投擲時の単位軌跡長は経験群が26.6±5.9 mm/s,未経験群が38.0±10.6 mm/sとなり,前後方向単位軌跡長では経験群が20.5±5.4 mm/s,未経験群が30.6±8.6 mm/sであり,いずれも経験群が有意に小さかった(p<0.05)。左右方向単位軌跡長では経験群が14.6±5.5 mm/s,未経験群が17.4±4.5 mm/sであり,有意差はなかった。【結論】本研究から,経験群は未経験群よりダーツの成績がよく,ダーツの成績向上には前後方向のバランス制御が重要であることが示された。先行研究では,同一動作の反復により姿勢の安定性が向上するとされている(大畑ら,2003)。ダーツでは,上肢の投擲動作とバランス制御が要求される。ダーツ経験者は投擲動作時のバランス制御能力が高いことから,今後はダーツが高齢者のバランス能力改善目的のエクササイズとして有用かどうか確かめていく。
著者
鈴木 雄太
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.84-87, 2017-12-20 (Released:2019-01-11)
参考文献数
2

“The First Inspiration to Set One’s Mind on Seeking Enlightenment” (Shohosshinjibenjōshōkaku) is a key term from the “Kegon Sūtra” concerning the theory of attaining Buddhahood in the Kegon sect. “Shohosshinjibenjōshōkaku” has been the subject of a variety of debates since ancient times.In this paper, I discuss the Kegon interpretations of Shingon priest-scholars (such as Raiyu, Gōhō, Shōken, and Shōdō), who were active during the Middle Ages, from the perspective of “Shohosshinjibenjōshōkaku.” As a result, I am able to clarify differences between the interpretations of Shingi Shingon scholar-priests and those of Kogi Shingon scholar-priests.Furthermore, the method by which each school understands the “ideal world” provides a background for the differences between the two interpretations.
著者
鈴木 雄太郎
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.72, pp.21-38, 2002-09-20

This paper reviews researches on trilobites and history of trilobite diversity under the Paleozoic environment. First, the studies on exoskeletal morphology, its chemical compositions and internal organs are reviewed. Second, a systematic outline of classification on the Trilobita and its bearing taxonomic problems such as these of agnostids and naraoids are discussed based on previous studies focused into the aspect of functional morphology. The life history of trilobites are divided into three major periods of the initial (early Cambrian), radiative (Cambrian to Ordovician) and declining stages (Silulian to Permian), respectively. Dominated carbonate ramp-settings under the condition of sea-level fluctuation are favored to be one of the most important factors that influenced the history of the morphological and the taxonomic diversity in the initial stage. Increased morphological diversity occurred in the radiative stage, corresponding to the period of widely expanded carbonate depositional settings, especially of reefal facies. In case of the declined stage, sea-level lowering during the mid Silurian to the earliest Devonian and the late Devonian extinction event is favored as the main factors to explain the trend of the declined and low morphological diversity. An additional factor to this may be the switch of the aragonite/calcite sea water which happened in the middle Carboniferous.