著者
佐々木 智大
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

1995年兵庫県南部地震では,多数のRC橋脚に甚大な被害が生じたことから,あのような被害が生じた原因の究明,破壊メカニズムおよび現在の基準で設計されたRC橋脚の耐震性を明らかにするため,2007年に1体の,2008年に2体の,2009年に1体のRC橋脚の加震実験が(独)防災科学技術研究所が有する世界最大の震動台実験施設E-Defenseを用いて行われた.4体のうち2体は兵庫県南部地震で甚大な被害を受けた,1970年代の基準で設計された高さ7.5m,直径1.8mのRC橋脚(C1-1およびC1-2橋脚)であり,CH橋脚は橋脚基部での曲げ破壊を,C1-2橋脚は軸方向鉄筋が柱中央部で途中定着されており,橋脚中央部でのせん断破壊を想定した橋脚である.また,残り2体のうち1体は現在の基準で設計された高さ7,5m,直径2mのRC橋脚(C1-5橋脚)であり,最後の1体はポリプロピレン繊維補強セメント系複合材料(PFRCC)を橋脚基部に用いた次世代型RC橋脚(C1-6橋脚)である.本年度はこれらの実験結果を詳細の解析をすするとともに,C1-5およびC1-6橋脚の縮小模型の地震動を模擬した載荷実験を行い,寸法効果の評価を行った.また,C1-6橋脚に生じた軸方向鉄筋の抜け出し量を解析することにより,新材料を用いた場合の軸方向鉄筋の抜け出しの影響を評価した.この結果により,これまでの縮小模型実験の結果に基づき実橋脚の破壊特性を評価するために必要なデータを収集するとともに,PFRCCを用いたRC橋脚によって,構造物の耐震性を大きく向土させることが可能になると期待される.