著者
榧木 啓人 亘理 龍
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究では、均一系触媒を用いる二酸化炭素の水素化反応によるメタノール合成法を実現する目的で、二酸化炭素→ギ酸類→メタノールの変換に有効な分子触媒の開発に取り組んだ。アミジン塩基 (DBU)存在下、銅触媒が二酸化炭素の水素化活性を示すことを見いだした。また、DBUとヨウ化銅から得られる新規錯体が触媒活性を示したことから、DBUはギ酸を捕捉する塩基かつ銅触媒の配位子として機能していることが判明した。さらにPNPピンサー型ルテニウム錯体による二酸化炭素の水素化反応がアミンポリマー上で進行することを見いだした。アミンポリマーのホルミル化と続く水素化を経て、直接メタノールを合成することに成功した。
著者
仙石 愼太郎 AVILA Alfonso 末松 千尋
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究課題は、学際・融合を盛り込んだ大型公的助成プログラム事例の観測に基づく実証研究を旨とし、日本及び欧州において国際的に実施する。学際・融合の業績サイドの科学計量学的評価アプローチとしては、引用-被引用関係に加え、共著関係や閲覧回数等のより即時性の高い指標の導入を試みた。学際・融合の広がりに関しては、所与の分野分類に基づく従前の規範的手法に加え、共引用構造分析や書誌結合分析による事実記述的な手法論、また、人材育成・教育成果等の非文献計量指標も考慮に入れた。学際・融合の活動サイドの経営組織論的評価アプローチとしては、コミュニケーション・インタラクション等を含むトランザクションに着目した測定手法1を援用した。即ち、学際・融合の研究開発の推進プロセスや鍵となる活動単位を特定し、観測軸・指標を設定し実測し活動実態を整理して把握する。更に、観測結果を分野・機関・中心的研究者・研究プロジェクト間で比較・検証することで、学際・融合研究開発の影響要因や行動類型を描出した。平成26年度の研究実績としては、学際・融合研究開発の業績・活動の観測手法を確立した。詳細は下記の通りである。1.業績評価の視点として、中心研究者等の主体(actor)、論文発表・特許出願等の成果(outcome)、人材育成・教育等の成果(people)を規定し、測定指標として整理した。2.活動評価の視点として、中心研究者等の主体(actor)、研究資金・設備、マテリアル等の投入資源(resource)、交流機会(opportunity)を規定し、測定指標として整理した。3.上記フレームワーク・指標に基づきパイロット観測を実施し、観測・測定面の実効性を検証する。必要に応じ、対照の観測事例を設置した。
著者
山崎 正勝 栗原 岳史 中尾 麻伊香
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

1954年3月の米国のビキニ水爆実験によって、第五福竜丸の乗組員が放射線被害を被った。その実態は、自らも調査に関わった当時大阪市立医科大学助教授だった西脇安によって各国に伝えられた。本研究では、遺族から提供された資料などの分析で、次のことが明らかにされた。(1)1954年の西脇の欧州訪問は、大阪の原水爆禁止運動が財政的に支えたこと。(2)訪欧中のジョセフ・ロートブラットとの出会いが、1955年の「ラッセル・アインシュタイン宣言」の重要なきっかけを与えたこと。(3)1957年のソ連及び東欧訪問でその影響が広がったこと。(4)1959年の訪米によってライナス・ポーリングの反核運動を支えたこと。
著者
圓川 隆夫 鈴木 定省 フランク ビョーン
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究は、現在多くの企業が目標としているCS(顧客満足度)について、世界ではじめて同一尺度による先進国、新興国からなる8つの国・地域での15の製品・サービスを対象としたCSを含むCS関連指標のデータベースを構築し、CS関連指標の国の文化、そして経済状況の影響と、CS関連指標間の因果メカニズムの違いを実証的に検証したものであり、グローバル化したマーケティングや品質設計に多くの示唆を与えるものである。
著者
田中 秀数 小野 俊雄 栗田 伸之 佐藤 卓
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

我々はフラストレーションの強いスピン系での顕著な量子効果を調べた。まず,我々はBa3CoSb2O9の磁化過程を測定し,全磁場領域で磁化曲線が理論と一致することより,この物質が理想に近いスピン1/2三角格子反強磁性体であることを示した。続いて,スピン1/2籠目格子反強磁性体Cs2Cu3SnF12の磁気励起を中性子非弾性散乱で測定し,励起エネルギーが通常とは逆に,スピン波理論で求めた値よりも大きく減少する負の量子再規格化現象を発見した。更に,新規ダイマー磁性体Ba2CoSi2O6Cl2を合成し,その強磁場磁化過程を測定することより,磁場中でマグノン結晶ができることを見出した。
著者
由良 嘉啓
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2014-01-29)

本研究では、外国為替市場の注文情報のヒストリカルデータを解析し、その数理モデル化を行った。26年度までの研究により注文情報の揺らぎと価格変動の関係は、溶媒中を揺らぐコロイド粒子の確率的な揺らぎを記述するランジュバン方程式で近似できることがわかっている。本年は、システムの離散性の強さを特徴付けるクヌッセン数を外国為替市場において新規に導入した。クヌッセン数は主に統計物理学や流体力学の分野で用いられるシステムを特徴づける量のひとつであるが、この値によりシステムを記述する方程式が連続極限または離散のどちらかに分類できる。例えば、大きなクヌッセン数を取るシステム(気体)であれば、ボルツマン方程式のような離散モデリングが必要となる。一方で、小さなクヌッセン数を取るシステム(流体)であれば、ナビエストークス方程式のような連続極限での近似が可能となる。外国為替市場の価格変動のモデリングはブラックショールズモデルなどを代表とした価格変動を連続極限でモデル化するものが存在する。この連続極限でのモデリングの妥当性を議論することを目的として、複数の通貨ペアの時系列データから、新たに外国為替市場におけるクヌッセン数として定義した量の統計的な性質を調べた。結果、観測した時間範囲においては、離散性が強く連続極限のモデリングが妥当ではない時間帯が観測された。大部分の時間帯は連続極限のモデリングは妥当ではあるものの、ごく短時間、特に市場が暴騰暴落するケースにおいては妥当ではないことが示唆されている。市場が不安定になり価格が一方的にどちらかの方向に進むケース(暴落や暴騰)の状態では、クヌッセン数の値は非常に大きくなり、システムの離散性が強くなることがわかった。
著者
池田 泰久 三村 均 佐藤 修彰 新堀 雄一 小崎 完 佐藤 努 佐々木 隆之 桐島 陽 出光 一哉 稲垣 八穂広 鈴木 達也 竹下 健二
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31 (Released:2012-11-27)

福島原発事故で発生した汚染物の合理的な処理・処分システム構築に向け、従来とは異なる固体・液体汚染物の性状研究、固体・液体汚染物の処理研究、発生廃棄物の処分研究の3分野に分け、基盤データの取得を行ってきた。その結果、燃料デブリの性状、核種の溶出挙動、汚染物の除染法、汚染水の処理法、高塩濃度環境下での核種の移行挙動等、燃料デブリをはじめとした従来知見の少ない海水を含む水溶液に接する条件下で発生した放射性廃棄物の処理・処分技術の開発に資する多くのデータを取得し、福島原発事故廃棄物の処理・処分方策に貢献しうるとともに、放射性廃棄物の処理・処分分野の進展に寄与しうる成果を出している。
著者
山元 啓史
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

代表者は2007年に和歌用の形態素解析ツールを開発した。その解析対象は八代集に限定されていた。本研究では八代集の解析済みデータを用い、連接規則をコンピュータ処理で獲得し、それにより二十一代集の解析を実行し、品詞タグづけを行うことを目的とする。KyTea(京都大学KyTeaプロジェクト)とそれに付属する点推定連接規則学習システムにより、ノートブック程度のマシンであっても数十秒で学習モデルの生成ができた。これを用いて、二十一代集の単位切りを行ったところ、ほぼ96%の高い割合で解析ができた。未知語の入力と未知語周辺の連接規則の学習はまだ必要であるが、二十一代集の単位分割を行う辞書は完成した。
著者
小川 佳宏
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

光学測定はバンド間遷移・バンド内遷移ダイナミクスや格子振動などを測定する良い手段であるが、光の回折限界のために微小領域の測定には限界がある。近年半導体ナノ構造、メタマテリアル、カーボンナノチューブ、グラフェン等のナノ材料におけるさまざまな興味深い現象が知られている。そこで、本研究ではヘテロダイン干渉法を用いたチップ増強散乱法を用いることにより10nmスケールの空間分解能でこれらナノ材料の誘電率測定およびダイナミクス測定を行う。ナノ構造体の電子、格子状態とそのダイナミクスを高空間分解能で測定することにより、新たな知見を得ることを目的とする。散乱光の強度と位相を高空間分解測定するために、チップ増強レイリー散乱光のヘテロダイン測定を行った。初めに散乱光のヘテロダイン検出系の作製と、標準試料である金ナノ構造からの散乱光の強度と位相測定を行った。具体的には、音響光学素子(AOM)により周波数シフトした光(ω-ω')を参照光として、周波数シフトしていない0次光(ω)を試料への励起として用いる。散乱される近接場光は、チップと試料との距離に非線形に依存するのに由来し、2Ωの強度変調を受けている。したがって、ロックインアンプでω'-2Ωの成分を測定することにより試料の複素誘電率の大きさを測定できる。これにより、試料の電子状態を15nm程度の高空間分解で測定することができる。励起光の波長を変化させ、Si基板上の金薄膜の近接場散乱光の強度と位相の測定を行った。その結果、2.3eV付近に金のプラズマ周波数を反映した位相シフトのピークが現れ、高エネルギー側には金薄膜の散乱光強度の減少を観測した。さらにEB露光法で作成した直径200nmの金ナノディスクからの散乱光の強度と位相分布を測定し、FDTD法により計算した電磁場分布との比較を行った。
著者
佐藤 孝和 黒川 信重 川内 毅 田口 雄一郎 黒川 信重 川内 毅 田口 雄一郎
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

ペアリングに基づく楕円暗号に特有の解読法としてペアリング反転を解く方法が知られている。本研究ではヴェイユペアリングの反転写像の明示公式を与えた。この式は密な有理式であり、このペアリング反転公式をそのまま計算してしまう方法に対してはペアリングに基づく楕円暗号は安全であることが示された。また、ペアリングに基づく暗号に適する超楕円暗号をペアリングに基づく暗号に適さないある種の楕円暗号から構成する方法を開発した。
著者
濱田 有香
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24 (Released:2015-11-26)

平成28年度は2つの研究を行った.研究1では,咀嚼および味覚に伴う口腔刺激が食事誘発性体熱産生(DIT)に与える影響を検討した.実験は2015年度に行い,データ解析を2016年度に行った.普通体重の健常成人男性に,200 mL(200 kcal)の飲料を一口20mLに分け,3通りの飲み方で5分間かけて摂取させた.すなわち,①対照試行:30秒毎に一気に嚥下する試行,②味覚試行:30秒間口に含んでから嚥下する試行(対照試行に味覚刺激が加わる),③咀嚼試行:1秒に1回の頻度で30秒間咀嚼してから嚥下する試行(対照試行に咀嚼と味覚の刺激が加わる)を行わせた.ガス分析装置にて酸素摂取量を食後90分まで測定し,食後90分間の累計のDITを算出した.味覚試行の累計のDITは対照試行と比べて有意に増大し,咀嚼試行の累計のDITはさらに増大した.咀嚼および味覚の両方の口腔刺激によって,DITが増大することが明らかになった.研究2では,食べる速さが食後長時間にわたるDITに及ぼす影響について検討した.実験は2016年度に行った.普通体重の健常成人男性に,734 kcalの食事(スパゲティ,ヨーグルト,オレンジジュース)をできるだけ速く(早食い試行)あるいはできるだけゆっくりよく噛んで(遅食い試行)摂取させた.ガス分析装置にて酸素摂取量を食後7時間まで測定した.遅食い試行のDITは早食い試行よりも食後2時間まで有意に増大した.食後7時間まで早食い試行と遅食い試行のDITの応答は逆転しないことが確認された.食後7時間の累計のDITは早食い試行よりも遅食い試行の方が有意に増大した.研究2の知見は,ゆっくりよく噛んで食べることが肥満を予防するよい習慣であることの裏づけとなろう.研究実施計画のとおりにおおむね順調に実施できた.今後,研究1および研究2について論文を執筆し,学術ジャーナルに投稿する。
著者
田中 善一郎
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

1947年から2009年までに実施された参議院選挙について、個々の選挙が実施された背景、各党の立候補者の数や選挙出場回数、当該選挙時の世論調査の状況と事前予測、選挙の投票率と都市部と農村部の投票率の違いについて分析を行った。さらに、選挙の結果については、各党の得票数、得票率、獲得議席数と議席率などについて、地方区(または選挙区)と全国区(比例区)とに分けて、特に前々回との比較や地域別傾向を分析した。参議院選挙は、衆議院選挙に比べて、第一党への集中度が大きくなく、その結果として、参議院は衆議院に対して、「抑制と均衡」の機能を果たしてきたことが明らかとなった。
著者
花村 克悟
出版者
東京工業大学
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究において、熱エネルギーにより加熱されたタングステン製平滑面エミッター表面をGaSb製光電池に近づけることにより、通常の伝播光に比べて、エバネッセント波効果により、およそ4倍の発電密度となることが示された。さらに数値シミュレーションモデルを独自に開発し、対向するピラーアレイ構造表面において、ピラー間隙間の表面プラズモンがその深さ(ピラー高さ)により周波数制御できる(すなわちエバネッセント波の波長制御となる)ことを示した。
著者
花村 克悟
出版者
東京工業大学
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

本研究は,加熱された表面近傍(光の波長程度)に生ずる近接場光をナノスケールの隙間(ナノギャップ)を介してGaSb系の熱光起電力電池(Thermophotovoltaic Cell : TPV Cell)へ導き電力を得る,ナノサイズ発電システムについて検討したものである.真空容器内にこの電池と鏡面研磨されたタングステンエミッター(放射体)を向い合わせ,両面をゴニオメーターで平行に保ちつつ,高精度マイクロメーターで接触するまで近づけた.8mm×2mmのエミッター面積に対して隙間が40μm以下となると,形態係数はほぼ1となり,隙間が10μm程度までは出力電力は一定となる.さらに隙間を狭くした場合,この領域では簡易マイクロスコープを用いて隙間を測定することができない.そこで,出力がゼロとなる接触した位置をゼロ点とすることを試みた.したがって,多少,この領域での隙間の精度が低い.出力がほぼゼロ,すなわちその位置において,外部負荷を変化させたときの電流-電圧特性曲線が得られない位置を隙間ゼロとすると,隙間が約2.5μmにおいて急激にエミッター温度が低下し,出力も低下した.さらに,隙間が1μmより小さくなるとエミッター温度が低下し続けるにもかかわらず,出力がいったん増大した.そこからわずかに近づけると出力は急激に低下し,そこでは外部負荷を変化させたときの電流-電圧特性曲線を得ることができなかった.これらのことから,隙間が2.5μm以下になると,電力には変換されない長波長域のふく射に対して近接場効果が顕著となり,熱移動が促進される.このため,加熱用のレーザー入力が一定条件では,エミッター温度が低下する.これに伴い,出力電力が低下する.隙間が1μmあるいは400〜500nm程度まで狭くなるとエミッター温度が低下するものの,電力に変換される波長のふく射の近接場効果が顕著となるため,出力が増大したものと考えられる.したがって,加熱面近傍に生ずる近接場光による,熱エネルギーから電力へのエネルギー変換の実現が示唆されたものと考えられる.
著者
花村 克悟 牧野 俊郎 宮崎 康次 高原 淳一 森本 賢一 若林 英信
出版者
東京工業大学
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-15)

本研究において、ピラーアレイ構造表面を対向させることにより、ピラー間隙間の表面プラズモン共鳴より波長制御輸送が可能となること、およびピラートップ面においてs偏光波となる電磁波はピラー側面おいてp偏光波となることから、長波長成分のエネルギー輸送はむしろ平滑面に比べて抑制されることが示された。また、スプリットリング共鳴器アレイ構造を利用した白熱電球により、電気から可視光への変換効率が通常の2倍となることが示された。