- 著者
-
吉田 聡
佐々木 英治
笹井 義一
細田 滋毅
- 出版者
- 日本地球惑星科学連合
- 雑誌
- JpGU-AGU Joint Meeting 2017
- 巻号頁・発行日
- 2017-03-10
北西太平洋は冬季に爆弾低気圧が頻繁に発達する海域の中で最も深い海洋である。渦解像準全球海洋大循環モデルOFESによる34年間の過去再現実験データを用いたコンポジット解析によって、爆弾低気圧が急発達する際、海洋混合層内では強い発散が起こり、2000m深に達する上昇流が励起されることが見出された。また、爆弾低気圧活動の年々変動が海洋深層の鉛直流の振幅と日スケールの水温変動に影響することが示された。しかし、通常の海洋観測網では爆弾低気圧に対する海洋応答を捉えることはできない。深い冬季混合層のため、衛星観測による海面水温では爆弾低気圧による変化は見えない。また、10日毎のアルゴフロート観測は1日程度の爆弾低気圧の急激な観測をするには長すぎる。そこで、爆弾低気圧に対する海洋応答を観測するため、北西太平洋でのアルゴフロートを用いた高頻度観測を2015/2016と2016/2017の2冬季(11月~3月)に実施した。今回用いたアルゴフロートは観測の時間間隔と観測深度を衛星通信によってリアルタイムに変更できる。気象庁の週間アンサンブル予報を元に、観測海域で爆弾低気圧が高確率で予測された場合には6時間毎、650m深までの観測を実施し、それ以外は1日毎、2000m深の観測を実施した。2016年12月までに爆弾低気圧活動が活発な海域の859プロファイルを観測した。参考文献: Kuwano-Yoshida, A., H. Sasaki, and Y. Sasai, Geophys. Res. Lett, 44, 320-329 (2017).