著者
佐中 薫
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.698-702, 2004-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
34

量子コンピュータを実現する方法を探ることは,今最もチャレンジングな課題のひとつと言っていいでしょう.光を使う方法は,量子的な重ね合わせ状態を長く維持できるといったメリットがありますが,量子演算を効率的に行うためには,1光子と1光子の間で強い相互作用を実現しなくてはならず大きな問題となっていました。ところが単一光子光源,単一光子検出器を使うことで原理的にはこの問題を解決できることが理論的に示され,私たちのグループでは,この理論の基礎である非線形符号シフトの検証実験を行うことに成功しました。本稿ではこの理論の基本的なアイデアと,検証実験の現状と展望について紹介します.