著者
田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.741-747, 1996-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1

磁石(強磁性体)の中で, 数多くの電子のスピンが同じ方向を向いてそろうのは何故か? この古典的な間に答えるためには, 強い非線形な相互作用を及ぼしあいながら, 複雑に絡み合って量子力学的に運動する多くの電子たちの生み出す物理的なストーリーを読みっとていかなくてはならない. そのような理論的な試みの一つの側面を, Hubbard模型での強磁性の厳密な例を中心に解説する. 学部程度の量子力学の知識だけを前提にして, このテーマのおもしろさと最近の結果を伝えたい.
著者
赤池 弘次
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.608-614, 1980-07-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
3
被引用文献数
2

L. Boltzmannによって導入されたエントロピーを統計的分布の確率の対数とする解釈は, 統計と確率との本質的な関係を明らかにする歴史的な貢献である. 数理統計学の発展は, このBoltzmannの業績に対する認識を欠いたままにすすめられたが, 最も著しい成果とみなされるものは常にこの確率論的エントロピーの概念に密接した研究によって得られている. 予測の視点と確率論的エントロピー概念との結合によって, 統計的方法の展開に有効な統一的視点が得られるとするのが筆者の主張である. これによって尤度概念の役割とその重要性に客観的な説明が与えられ, 従来問題視されたベイズ(Bayes)理論の実際的利用への道が開かれる.
著者
内村 直之
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.300-301, 2019-05-05 (Released:2019-10-02)
参考文献数
6

特別企画「平成の飛跡」 Part 1. 物理学をとりまく環境の変化物理学,物理学者と社会
著者
広重 徹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.380-388, 1971-06-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
11

特殊相対性理論はMichelson-Morleyの実験から生まれたという, ほとんどだれもが当然のこととしている解釈はじつは根拠のない神話であることが, 最近の物理学史研究によって明らかとなる. なぜそれを神話と判断するのか. それが支持できないとすれば, 代わるべき解釈はいかなるものか. 歴史的背景とEinsteinの思考の発展との両面から考察してみよう.
著者
南部 陽一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.2-8, 2002
参考文献数
4

<p>20年以上前のことだが, 私の生涯と仕事について物理学会誌に書いたことがある.^<1)>今回またこの機会を与えてくださった編集者の方々に前もって感謝の意を表します.さて私の昔の記事を読んでみたら, 1960年半ばごろまでの私の周りに起きたことごとを述べてあるので, 当然今回はその続編ということになる.しかし新しい読者を考慮し, また社会的背景をも含めたいと思って初めからやり直すことにした.</p>
著者
天羽 優子 菊池 誠 田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.342-346, 2011
参考文献数
4

「『ありがとう』などの『よい言葉』を見せたり『美しい音楽』を聴かせたりした水は凍らせたとき美しい結晶を作るが,『ばかやろう』などの『悪い言葉』を見せた水は凍らせても結晶を作れない」というのが「水からの伝言」という物語である.この単なるファンタジー(ないしはオカルト)が,時に「科学的」とさえみなされ,学校教育の現場にまで浸透している.ここでは,予備知識のない読者を想定し,「水からの伝言」をめぐる状況を紹介し,関連する問題点や論点を簡潔に整理したい.
著者
川合 敏雄
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.227-235, 1986-03-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
3

最近では工学者もしきりにハミルトニアンを口にします. それは物理学者の使い方と同じ場合もありますが, 制御工学者のいう〓はより広い意味をもっています. 最適制御の理論は最大原理という大きな枠で, これを特殊な対象に適用すると力学をはじめとする自然法則が出てきます. この文では最大原理を日常の言葉で理解しながら, 物理法則を制御の目で眺めなおしてみます.
著者
山崎 正勝
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.584-590, 2001-08-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
17

日本は第二次世界大戦期に核兵器を開発しようとした国の一つだったが,その正確な実態は,これまでほとんど知られてこなかった.計画に参加した物理学者たちの研究資料を分析することで,最近,彼らが行った研究の内容が次第に明らかになりつつある.ここでは,特に理化学研究所の人々が構想していた「ウラニウム爆弾」が,原子炉暴走型の爆弾構造であったことが示されている.
著者
川合 敏雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.p227-235, 1986-03
被引用文献数
1

最近では工学者もしきりにハミルトニアンを口にします. それは物理学者の使い方と同じ場合もありますが, 制御工学者のいう〓はより広い意味をもっています. 最適制御の理論は最大原理という大きな枠で, これを特殊な対象に適用すると力学をはじめとする自然法則が出てきます. この文では最大原理を日常の言葉で理解しながら, 物理法則を制御の目で眺めなおしてみます.
著者
竹内 繁樹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.263-273, 1999-04-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
35

「量子計算」という言葉を耳にした方も多くなってきたのではないでしょうか. しかし, 「重ねあわせ状態を維持して計算を行う」という説明には「重ねあわせ状態なんてすぐに壊れてしまう」という常識から, あるいは「観測によって波束を収縮させ」という言葉には怪しげな雰囲気を感じて, 今一つ疑念や近寄りかたさを感じていらっしゃるかもしれません. でも, ここで紹介するように, それらの問題への真正面からの取り組みがすでに始まっています. この稿では, 現時点でどのような実現の方法が考えられており, 実際どのような実験が行われているのかを紹介いたします. 今急速に立ち上がりつつあるこの分野の魅力を感じていただければ幸いです.

37 0 0 0 重力波

著者
平川 浩正
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.10-17, 1973
被引用文献数
1

重力場が波動として伝播するとしても, おどろくべきことではない. この解説では, 重力波の方程式からはじめて, 波動の, 検出の方法について考え, 最近の観測結果をまとめて, 地球にきているらしい大量のエネルギーの放出がどこでじょうじているのか, その起源についてさぐってみる.
著者
菅本 晶夫
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.236-239, 2017-04-05 (Released:2018-03-30)
参考文献数
18

南部の豊かな発想の源を求めて,2002年8月1日に筆者が南部と交わした議論を紹介する.その中に南部が最晩年に流体力学に取り組んだ芽がある.南部流体力学を説明しながら,次に南部は何をしようとしていたかを,浅薄を顧みず筆者なりに推察する.