著者
佐伯 奈津子
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.159-182, 2017-10-31

2005年8月15日,フィンランド・ヘルシンキにおいて,自由アチェ運動(GAM)とインドネシア政府とのあいだで和平合意覚書が結ばれた。和平合意後,アチェでは,物理的暴力が激減するいっぽうで,紛争中にはみられなかった新たなタイプの暴力が増加している。本論文は,紛争後のアチェが直面する問題を明らかにすることで,永続的な平和を実現するための課題を検討する。本稿で分析した和平再統合プログラムにおける紛争被害者支援では,不明確な支援対象,元GAMメンバーなどによる強要や汚職,持続可能でない支援効果,中央の統制と不確実な資金調達などの問題がみられた。