著者
斎野 容子 三松 謙司 川崎 篤史 木田 和利 吹野 信忠 加納 久雄 佐伯 郁子 和田 裕子 荒居 典子 大井田 尚継
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.945-949, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
14

症例は70歳、男性。2007年11月、直腸穿孔及び腹膜炎にてハルトマン手術を施行、2010年8月、腸閉塞の診断で癒着剥離術及び小腸部分切除術を施行した。2010年10月、腸閉塞にて入院し、イレウス解除術及び小腸部分切除術を施行したが、術後3日目に小腸吻合部縫合不全を認め、術後7日目に創部Surgical site infectionによる腹壁創部〓開を認めた。創傷治癒促進と低栄養改善を目的としてNSTが介入し、中心静脈栄養、経腸栄養、食事の併用により適切な栄養管理を行うとともに、CaHMB・L-アルギニン・L-グルタミン配合飲料(アバンド™)1日1袋28日間の経口投与を行った。アバンド™投与後、腹壁創部は順調に改善して投与後28日目にはほぼ上皮化し、縫合不全は投与後20日目に閉鎖し、第67病日に退院となった。低栄養状態を改善した上でアバンド™を投与することは創部〓開や縫合不全部の創傷治癒促進に有効であると考えられた。