著者
佐倉 詔夫 沼田 真
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.371-380, 1980
被引用文献数
6 14

房総半島東南部のスギ幼齢造林地に下刈<br>区(毎年1回刈り)と放置区を設け,伐採後5年間の群落の動きを調べた。群落の解析には種類組成,生活型組成,遷移度(DS)などにより比較検討し,それらと植栽木の成長との関係についても論じた。種類組成および生活型組成から両区ともに遷移は進行しており,雌行速度は放置区のほうが下刈区よりもかなり進んでいた。これらのことから, DS=[(∑d・l)/n]・uの優占度dの4通りの算出法, (1) SDR (積算優占度), (2) SDR<sup>*</sup> (多区間積算優占度), (3) MDR (乗算優占度;〓×〓), (4) MDR<sup>*</sup> (多区間乗算優占度)のなかで (1) 式が,群落の動向を表現するのにもっともよく適合していた。極相指数<i>c</i>を入れるかいれないかでDSの算出式がちがうが,木本植物が量的に非常に多い初期造林地においても,両者のDSは傾向がよく一致していた。