著者
佐地 多美
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.129-138, 1975-03-15

生活の多様化,情報の氾濫,多種多様な価値観の世界に生きるわれわれが,今後,ますます複雑化が予想される社会に生きる子どもたちのために,今何をしてやらなければならないのか,何をしてやることができるのか,教育界に多くの目が向けられている昨今,もう一度冷静に考えてみる必要がありはしないか。そもそも教材というものは,マーセルの言葉を借りるまでもなく良い教材でなければならない。特に音楽活動の場合は教材が音楽活動を限定してしまうので,教材の質が重要であろう。そして,多様な音楽文化に支えられている今日の音楽教育も,豊富で変化に富んだ教材によって,子ども達の多様な興味に応じることが必要であろう。それを子どもの発達段階に沿って順序づけるよぅ配慮されなければならないし,全体的には他教科との関連を見逃す訳にはいかない。しかし,現実はソッポを向いた子どもをこちら側に向けることが先決問題であり,そのために教師と子どもの"共通のこ^^^・と^^^・ば^^^・"を見つけることを提案してきた。そして,義務教育での音楽教育は専門教育ではなく一般教育であるがゆえに,多様な子どもの興味に答え,情操教育における音楽の役割を十分に果たすように努めねばなるまい。