著者
園田 義人 佐松 崇史
出版者
九州東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、振動膜等の物体を一切使わず、レーザ光により音を直接検出する方法、あるいは光の中から音情報を取り出す方法(総称:光波マイクロホン)の技術確立を目的とした開発研究を実施した。同法は、空中音波の位相変調作用により発生した極微弱回折光を検出することで可聴音を検出・再生しようとする試みである。微弱回折光の検出には光学情報処理システムを用いるが、光学システム(特に音検出部にあたる光ビーム構造)をどう組めば可聴音の検出が最適化されるか、あるいは任意のニーズに適う音受信特性が実現できるか、などについては未解明の部分が多い。本研究では、光波マイクロホンの中核部である光学情報処理部及び音検出アンテナ部の理論的・実験的検討を行い、それらを総合した光波マイクロホンの技術確立などを行った。主要な内容を要約すると、次のようになる。レーザビーム伝送路(レンズ群からなる計測光学系)に音が入射した場合、入射点とフーリエ変換の関係にある位置に光検出面を置くことにより音信号が有効に取り出せる。音入射領域のレーザビームウェストのスポットサイズは音波長に近い方が信号強度が大きくなる。実用上は、数mmのビーム直径が使いやすい。音検出部の光ビームの構成と音受信特性を、主に単純反射形及び左右反転反射形ダブルビームを中心に検討し、光ビームの構成(1〜3次元的)を変化させることで、指向性、信号強度増幅などを変化させることができることなどを示した。