著者
佐藤 伸悟 三浦 総一郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.4, pp.564-574, 2011 (Released:2011-04-05)
参考文献数
77
被引用文献数
1

Glucagon-like peptide-2(GLP-2)は33のアミノ酸で構成されるプログルカゴン由来ペプチドのひとつで,腸管内分泌細胞(L細胞)で生成される.G蛋白共役受容体に結合し,そのシグナル伝達は受容体発現細胞内のみならず,インスリン様成長因子(insulin-like growth factor;IGF-1)や迷走神経線維を介し全身に広く及ぶと想定される.小腸粘膜増殖・消化吸収の促進・粘膜バリアの維持など多彩な作用で腸管機能の恒常性に寄与し,現在,短腸症候群を中心にアナログ製剤の実用化が期待されている.本稿ではGLP-2の生理作用や臨床応用の現況,今後の課題について概説する.