著者
高城 健 岡田 義清 白壁 和彦 古橋 廣崇 榎本 真悟 谷知 正章 丸田 紘史 安武 優一 栗原 千枝 戸田 裕之 東山 正明 渡辺 知佳子 髙本 俊介 冨田 謙吾 清水 邦夫 永尾 重昭 三浦 総一郎 穂苅 量太
出版者
消化器心身医学研究会
雑誌
消化器心身医学 (ISSN:13408844)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.2-5, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
29

近年,心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder: PTSD)と過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の関連性が指摘されており,一方で精神疾患と腸内細菌との関連性が指摘されている。また,IBSでは腸管粘膜における脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor: BDNF)の発現が増加するとの報告もある。今回我々は,本学で開発されたPTSD動物モデルを用い,腸内細菌叢や腸管粘膜におけるBDNF発現の変化について検討した。シャトル箱を用いてラットに逃避不能の電撃を負荷すると,後の行動観察でラットはPTSD,学習性無力(learned helplessness: LH),indeterminateのいずれかの行動パターンを呈することが判明した。行動パターンによって腸内細菌叢の構成が異なり,PTSD群ではBacteroidetes,LH群ではProteobacteriaの割合が増加する傾向がみられた。またLH群では,近位結腸のBDNF発現が増加する傾向がみられた。これらの変化がmicrobiota-gut-brain axisに関連し,行動変化や消化管機能に影響を与えている可能性がある。
著者
佐藤 伸悟 三浦 総一郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.4, pp.564-574, 2011 (Released:2011-04-05)
参考文献数
77
被引用文献数
1

Glucagon-like peptide-2(GLP-2)は33のアミノ酸で構成されるプログルカゴン由来ペプチドのひとつで,腸管内分泌細胞(L細胞)で生成される.G蛋白共役受容体に結合し,そのシグナル伝達は受容体発現細胞内のみならず,インスリン様成長因子(insulin-like growth factor;IGF-1)や迷走神経線維を介し全身に広く及ぶと想定される.小腸粘膜増殖・消化吸収の促進・粘膜バリアの維持など多彩な作用で腸管機能の恒常性に寄与し,現在,短腸症候群を中心にアナログ製剤の実用化が期待されている.本稿ではGLP-2の生理作用や臨床応用の現況,今後の課題について概説する.
著者
三浦 総一郎
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-2, 2018-03-31
著者
穂苅 量太 三浦 総一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.126-132, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
9

小腸腸管粘膜は吸収機能のみならず,バリアー機能と情報伝達機能を有している.情報伝達機構は吸収上皮細胞の受容体に加え,enteroendocrine細胞の受容体を介して個々の栄養素を認識して個別に制御されている.受容体は核内受容体のほか,膜貫通型G蛋白質結合受容体の存在も知られ,脂質や糖質がリガンドとなる.これらの異常がメタボリック症候群などの病態に関与する可能性も示唆されている.