著者
佐藤 保和
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.378-385, 2005-12-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

例えばメタンに比べると水素には,空気中での浮力が大きい,拡散が速い,ガス体積当りの燃焼熱が小さい,火炎の輻射率が小さいなどの安全側に働く性質がある一方で,ガス貯蔵で高圧を要する,可燃限界が広い,着火エネルギーが小さい,化学量論濃度において燃焼速度が大きいので爆風圧が大きい,爆ごうしやすい,火炎を視認しにくい,金属材料を脆化するなどの不安全な性質もある.水素の火炎伝播速度は濃度や乱流強度に大きく影響される.燃焼の伝播が管内あるいは障害物存在下で進むと,伝播がしだいに加速し,ついには爆ごうに転移することがある.可燃性ガスの体積の(1/3)乗で補正した換算距離を用いることで,ガスの種類,濃度,障害物の状況等が同一であれば,ガスの体積によらずに換算距離とピーク過圧の関係が定まる.