著者
中越 昌浩 高橋 知佐 門脇 志世理 高橋 理恵 佐藤 健三
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.E0141, 2004

【はじめに】<BR>当訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)におけるアプローチと終了の捉え方を検証する目的で、訪問リハ終了後の生活状況を調査したので、若干の考察を加え報告する。<BR>【対象】<BR>平成14年6月から平成15年6月の1年間に当訪問リハを終了していた52例の内、死亡・入院・入所による終了者と調査の協力が得られなかった者を除く30例を対象とした。内訳は男性17名、女性13名、平均年齢74.0±11.6歳、脳血管疾患21例、骨関節疾患6例、その他3例である。<BR>【方法】<BR>自宅への再訪問とカルテ調査により、1)訪問リハの利用期間・頻度・アプローチ内容、訪問リハ開始時、終了時のBarthel Index(以下、BI)と日常生活自立度判定基準(以下、寝たきり度)の変化、2)終了理由、3)訪問リハ終了後(終了日~最短3ヶ月後から最長15ヶ月後)のBIと寝たきり度、利用サービスの変化と介護負担の訴えの有無および内容について調査した。統計処理はt検定にて行なった。<BR>【結果及び考察】<BR>1)訪問リハの利用期間は平均6.99±9.49ヶ月(0.13~44.8ヶ月)、利用頻度は週1回が約9割を占めていた。アプローチ内容は屋外活動面が35%と最も多く、次いでADL面31%となっており、心身の活動性向上や安定したADLの確立を目的としたアプローチが中心といえた。訪問リハ開始時から終了時のBIの変化は、向上10例(33.3%)、維持20例(66.7%)、開始時平均77.8±15.2点、終了時平均80.3±15.2点で有意差に向上していた(p<0.01)。また、寝たきり度は開始時Jランク6例(20%)、Aランク20例(67%)、Bランク4例(13%)で、終了時では向上9例(30%)、維持21例(70%)であった。2)終了理由としては屋内外移動手段が確立した21例(70%)、介護負担が軽減された20例(67%)、通所・外来リハへ移行した17例(57%)等が多く、安定した在宅生活が確立できたとみなされた。3)訪問リハ終了時と終了後のBIの変化を見ると、維持26例(86.7%)、低下4例(13.3%)であった。また、寝たきり度では維持27例(90%)、低下3例(10%)であった。利用サービスの変化を見ると、特にBI・寝たきり度の低下例において通所リハの利用頻度増加や他の訪問リハ事業所の介入が見られていた。介護負担の有無とその内容を見ると、頻尿・失禁の回数増加、介護依存、活動量低下に対する不安等の訴えがあった。訪問リハは、個々に応じたADLや心身の活動性が生活に習慣化できるよう支援する必要があると考える。また、終了に関しては、目標達成と訪問リハ終了後の生活が維持できるような在宅支援体制の確保が重要と考える。今後とも、多角的な視点での客観的評価の指標を確立することが課題として残された。