著者
上杉 正樹 佐藤 兼章 宮野 敬治 樋口 英雄
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.131-134, 1982-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

鉛地金は放射性同位体の210Pbを含む場合があり, 遮蔽体を製作する前に, その放射能濃度を測定し, 素材を選択する必要がある。本研究では, 210Pbの定量方法として, 娘核種210BiをDDTC (sodium diethyl dithio carbamate) を用いて, 溶媒抽出分離し, そのβ線を測定する方法を検討した。また, この方法により, 市販の鉛地金14種と古い鉛3種について, 210Pbを定量した。市販地金の210Pb濃度は0.063~11Bq/g (1.7~300pCi/g) , 古い鉛は0.01Bq/g (0.3pCi/g) 以下であった。これらの結果より本法は鉛の素材選択に有用と思われた。本分析方法の定量下限は0.003Bq/g (0.1pCi/g) , 分析所要時間は5.5時間であった。