著者
深津 弘子 中山 一成 今沢 良章 虻川 成司 樋口 英雄
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.16-20, 1982-01-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4 3

海産生物中の放射性核種の濃度とその分布を把握するために60Coと安定コパルトを分析し, その関係について調査を行った。試料は日本近海で採取されたイカの内臓, 魚類である。60Coはイオン交換樹脂を用いた放射化学分離を行ったのち, 低パックグラウンドGM計数装置を用いて定量した。安定コバルトは分光光度計を用いて吸光度を測定し定量した。その結果, 北西太平洋で採取されたカツオの内臓以外の魚類については60Coは検出されなかったが, 60Coが検出されたイカの内臓等の回遊性生物において, 60Coと安定コパルトとのよい相関関係が得られた。
著者
上杉 正樹 佐藤 兼章 宮野 敬治 樋口 英雄
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.131-134, 1982-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

鉛地金は放射性同位体の210Pbを含む場合があり, 遮蔽体を製作する前に, その放射能濃度を測定し, 素材を選択する必要がある。本研究では, 210Pbの定量方法として, 娘核種210BiをDDTC (sodium diethyl dithio carbamate) を用いて, 溶媒抽出分離し, そのβ線を測定する方法を検討した。また, この方法により, 市販の鉛地金14種と古い鉛3種について, 210Pbを定量した。市販地金の210Pb濃度は0.063~11Bq/g (1.7~300pCi/g) , 古い鉛は0.01Bq/g (0.3pCi/g) 以下であった。これらの結果より本法は鉛の素材選択に有用と思われた。本分析方法の定量下限は0.003Bq/g (0.1pCi/g) , 分析所要時間は5.5時間であった。
著者
長岡 和則 古渡 意彦 佐藤 昭二 虻川 成司 樋口 英雄 中村 尚司
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.352-361, 2004 (Released:2010-08-05)
参考文献数
28
被引用文献数
4 6

Field measurements of the cosmic-ray neutron dose rate on the ground using the neutron dose-equivalent counter developed by Nakamura were conducted in order to allow an understanding of neutron dose rate distribution in Japan. The effects of altitude, geomagnetic latitude, snowfall and rainfall on the neutron dose rate were confirmed from the results of the field measurements. Altitude variation can be fitted to an exponential function (eαZ), where Z is altitude (km). The α value for the neutron dose rate increased with increasing geomagnetic latitude, 0.6-0.8(km-1) at latitudes 20°-40°. Roughly, α=0.01×L+0.4 (for Z under 2km), where L is the geomagnetic latitude(°). The effect of geomagnetic latitude on the neutron dose rate was approximately 2% per degree(°) at latitudes 20°-40° Reductions in neutron dose rate due to snowfall and rainfall are caused by a decrease in component backscattering from wet ground surfaces. The neutron dose rate (H*(10)) at sea level at a geomagnetic latitude near 25° in 2002 was approximately 4nSv/h, and the neutron dose rate obtained from the neutron energy spectrum up to 400MeV with the Bonner sphere counter developed by Uwamino was 5.7nSv/h. This difference may by due to the low sensitivity of the dose-equivalent counter to neutrons with energies above 15MeV.
著者
深津 弘子 中山 一成 今沢 良章 虻川 成司 樋口 英雄
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.16-20, 1982
被引用文献数
4

海産生物中の放射性核種の濃度とその分布を把握するために<SUP>60</SUP>Coと安定コパルトを分析し, その関係について調査を行った。試料は日本近海で採取されたイカの内臓, 魚類である。<SUP>60</SUP>Coはイオン交換樹脂を用いた放射化学分離を行ったのち, 低パックグラウンドGM計数装置を用いて定量した。安定コバルトは分光光度計を用いて吸光度を測定し定量した。<BR>その結果, 北西太平洋で採取されたカツオの内臓以外の魚類については<SUP>60</SUP>Coは検出されなかったが, <SUP>60</SUP>Coが検出されたイカの内臓等の回遊性生物において, <SUP>60</SUP>Coと安定コパルトとのよい相関関係が得られた。
著者
及川 真司 Song Sung-Jun 前山 健司 岸本 武士 戸村 健児 樋口 英雄
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.551-557, 2003-08-05
参考文献数
10
被引用文献数
4 8

海洋環境における放射能モニタリングに海産生物試料を応用することを視野に入れ,日本近海で採取したスルメイカ中に含まれる13元素(V, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ru, Ag, Cd, Cs, Ba, Pb)を,前処理後,誘導結合プラズマ質量分析法によって定量する方法を検討した.このうち,放射能モニタリングを行う上で特に重要であると考えられる9元素(V, Mn, Fe, Co, Cu, Zn, Rb, Ag, Cd)については,中性子放射化分析法によって分析値を比較した.その結果,両者は誤差の範囲内で一致し,誘導結合プラズマに特有な分子イオン形成やマトリックス効果等の影響は見られず,誘導結合プラズマ質量分析法による定量値の妥当性を確認した.この方法で1996年に千葉・銚子沖で採取したスルメイカの可食部,骨部,胃,肝臓及びその他の部位に含まれる上記13元素を定量し,海水に含まれる標準的な濃度と比較することによって濃縮係数を算出した.定量した重金属元素のうち,Mn, Fe, Co, Cu, Ag, Cd及びPb等の肝臓への濃縮が顕著であることが分かった.また,同じ部位であってもZn, Rb及びCsは濃縮係数に差がほとんど見られなかった。一方,その他の元素は同じ部位であっても濃縮係数に差が見られた.本研究で得られた結果から,回遊性のスルメイカが海洋環境の重金属や放射能汚染のための環境影響評価に利用できる天然の指標生物になると考えている.