著者
伊藤 幸江 石川 均 西本 浩之 向野 和雄 石川 哲 佐藤 喜一郎
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.211-216, 1990-12-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
12

今回,輻湊痙攣による内斜視,調節痙攣,縮瞳の3症状が同時にみられる近見反応痙攣の2症例を経験した.症例1は18歳女子高校生,3歳半頃,頭部打撲後より内斜視に気づいた.両外転神経麻痺がみられたが徐々に改善した.ところが,15歳頃,全身運動した後に頭痛と複視を自覚し,近見反応痙攣が出現した.症例2は28歳女性,26歳頃より症状が出現し,現在も恒常的に近見反応痙攣が続いている.この痙攣に対して上原らが用いたアモバルビタールの静注を我々も行ってみた.症例1は静注前と著明な変化はみられなかった.症例2は3時間程持続効果がみられ以前の状態に戻ってしまった.近見反応痙攣の発作は,皮質中枢の異常興奮・輻湊の中間中枢,動眼神経核,EW核への抑制の障害などが考えられ,アモバルビタールの有効性からも推定できる.