著者
石川 哲也 林 純子 友利 幸之介 長山 洋史
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.572-580, 2021-10-15 (Released:2021-10-15)
参考文献数
31
被引用文献数
1

急性期における協働的目標設定の可否と,可否を決定する因子について検討した.対象は急性期病棟の入院患者104名で,初回面接でADOCを用いた目標設定を行い,困難な場合は理由を尋ね,途中経過で目標が再設定できるか追跡調査を実施した.結果,目標設定が可能な割合は初回面接で40%,途中経過で31%,退院まで困難が29%であった.目標設定の可否に影響する因子は,初回面接時にFIMが98点以上だと良好でMMSEが13点以下だと不良であり,初回面接時の目標設定が困難であってもその理由が能力認識の不足や見通しの希薄の場合は,途中経過で目標設定ができる可能性があることが示唆された.
著者
石川 哲
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.47-52, 2001-07-15 (Released:2009-10-29)
参考文献数
14

最近話題のシックハウス症候群、化学物質過敏症(MCS)に関してその要点を総説的に解説した。本症は微量化学物質の慢性接触により生じた生体の自律神経、中枢神経、免疫系、内分泌系を中心とする過敏反応である。感覚器としての眼は視力低下、かすみ、中心部が見にくい、つかれ眼などの症状、訴えが最も多い。眼は診断にもっとも役に立つ器官である。何故ならば定量的に障害が測定出来るからである。現在特に患者が多いのは新築により生じた症例が中心をなしている。現代人は過去100年前には無かった合成の化学物質の蓄積が既に高く生体の解毒システムがそれに動員されているので、本来ならば反応しない低いレベルの物質でも閾値が低く反応が起こり発症する可能性が強い。現在我々の周囲の環境劣化は健康問題一つとっても21世紀には絶対に放置出来ない所まで来てしまっている。Sick House, MCS問題で悩んでいる患者もこの環境劣化現象の結果現れた可能性が強く今後我々も真摯な立場で環境問題に対処する必要がある事を強調した。
著者
石川 哲
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.95-102, 1998-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1

不定愁訴と環境中の有害微量化学物質との関係は, 特に慢性中毒で研究されている.その一つに, 最近本邦でも研究が開始されたばかりの化学物質過敏症(multiple chemical sensitivity ; MCS)がある.その定義は, Cullenによれば「過去にかなり大量の化学物質に一度接触し急性中毒症状が発現した後, 次の機会にかなり少量の同種の化学物質に再接触した場合にみられる臨床症状」であるとしている.原因の一つとして, 室内空気汚染と化学物質との関係が現在では研究も一番進歩している.原因物質と考えられるものとして, フォルムアルデヒド, トルエン, 白蟻駆除に使われる有機燐, カルバメート殺虫剤などが考えられている.今回は, 厚生省アレルギー研究班の援助で1997年に作成した診断基準を中心に, 解説を加えてみた.
著者
石川 哲
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.361-364, 2001-04-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
18
被引用文献数
3
著者
反町 百花 小川 孔幸 松本 彬 惣宇利 正善 小板橋 るみ子 梶田 樹矢 明石 直樹 内藤 千晶 石川 哲也 小林 宣彦 宮澤 悠里 一瀬 白帝 半田 寛
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.60-65, 2023 (Released:2023-02-11)
参考文献数
15

症例は86歳男性。COVID-19に対するBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン2回目接種の35日後に左下肢,左上肢の腫脹と疼痛が出現し,近医を受診した。APTT延長を認め,当科に紹介緊急入院となり,FVIII: C 1.7%,FVIII inhibitor 152.3 BU/ml,ELISA法でFVIII結合抗体を検出し,後天性血友病A(AHA)と診断した。高齢でADLも低下していたため感染リスクの懸念から,PSL 0.5 mg/kg/日で治療を開始した。入院期間中に筋肉内出血,膝関節出血などの出血事象を認めたが,都度バイパス止血製剤(rFVIIa,FVIIa/FX)による止血治療を実施し,良好な止血効果を得た。PSL治療で第69病日に凝固能的完全寛解(cCR)を達成したが,PSL漸減とともにFVIII活性が低下し,3回目のワクチン接種後に腹直筋血腫を伴うAHAの再燃を認めた。本症例は,日本人初のCOVID-19ワクチン接種後のAHA報告例で,かつ抗FVIII結合抗体の存在が証明された世界初の症例である。
著者
石川 哲
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-9, 2005-09-30 (Released:2009-10-29)
参考文献数
16

最近話題のシックハウス症候群(SHS)、多種化学物質過敏症(MCS)に関してその要点を総説的に解説した。本症は微量化学物質の慢性接触により生じた生体の自律神経、中枢神経、免疫系、内分泌系を中心とする過敏反応である。感覚器としての眼はちかちかする、異物感がある、視力が低下する、かすむ、中心部が見にくい、つかれるなどの症状、訴えが頻度的にも最も多い症状である。これら疾患の診断に眼は最も役に立つ器官である。何故ならば定量的にその障害が極く軽度のレベルから測定出来るからである。現在特に患者が多いのは新築により生じた症例、またはリフォームによる症例が中心をなしている。我々現代人は過去100年前には体験出来なかった合成化学物質蓄積が既にあり、生体内の解毒システムがそれに動員されるので、本来ならば反応しない低いレベルの物質でも閾値が低く反応が起こり発症する可能性が強い。我々の周辺の環境劣化は健康問題一つとして21世紀には絶対に放置出来ない限界点まで来てしまっている。Sick House, MCS問題で悩んでいる患者もこの環境劣化現象の結果現れた可能性が強い.今後我々は真摯な態度で環境問題を考えそれに対処して行く必要がある点を強調したい。
著者
大塚 義顕 石川 哲 斉藤 雅史 斎藤 隆夫 大森 恵子 渋谷 泰子 佐藤 孝宏 長谷川 正行
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.69-74, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
14

呼吸器疾患患者の中でも慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)には嚥下障害が高率に併存し,増悪と嚥下障害との関連が指摘されている.一般的に,呼吸と嚥下は文字通り表裏一体の協調関係にあるとされ,切り離しては考えられない.嚥下筋は呼吸中枢からの制御を受けて呼吸と協調した運動をするが,COPDでは呼吸のサイクルが増し,呼気が短くなることから異常な嚥下反射が起こりやすくなると考えられる.そのため嚥下障害の特徴を踏まえたうえで対応することが望まれる.一方,フレイル・サルコペニアを考えたときにオーラルフレイルから咀嚼障害や嚥下障害に移行しないようにしなければならないし低栄養に陥らないようにもする必要がある.そこで,本報告はCOPDのオーラルフレイル・サルコペニア,嚥下障害との関連,および包括的な嚥下リハビリテーションの介入でCOPD増悪の頻度を低下できた症例を提示する.
著者
小松 怜史 松尾 豊史 三浦 智久 石川 哲哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.22-00212, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
23

洋上風力発電設備コンクリート浮体の疲労特性を解明するため,本研究では縮小部分模型供試体を製作し,供用環境を想定した各種条件(水の有無,応力強度比など)にて常時圧縮応力下での疲労載荷実験を行った.結果,コンクリート内に湿潤する水の影響により水中では気中と比べ疲労寿命が2オーダー低下することなどが示された.また最大振幅の応力強度比が大きい場合,接合部近傍では部材中央部と比べて疲労寿命が低下する傾向にあった.具体的には最大振幅が応力強度比70%の場合,接合部近傍が中央部と比べ疲労寿命が1オーダー短くなった.接合面の面着状態が大きく影響していると考えられる.なお本実験の範囲内では,現行のコンクリート標準示方書の疲労強度式を適用して,PRC部材(設計基準強度60N/mm2相当)の疲労寿命を概ね評価可能であった.
著者
石川 哲郎 三浦 瑠菜 田邉 徹 増田 義男 矢倉 浅黄 阿部 修久 髙津戸 啓介 奥村 裕
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.22-00044, (Released:2023-07-07)
参考文献数
36

長期モニタリングデータを用いて,震災前後で仙台湾の水質環境(水温,塩分,DO,栄養塩類)に変化が生じているか検討した。震災後,震災前と比べ,栄養塩類とDOは低下し,水温と塩分は上昇する傾向が認められた。震災後の栄養塩類(DINとDIP)の減少は底層で大きく,春季に栄養塩に富む親潮系水の波及が減少した一方で栄養塩が少ない黒潮系水が波及するようになった影響や,震災で生じた底質の変化による夏季から秋季の底質からの栄養塩類の溶出の減少が要因として考えられた。
著者
石川 哲也
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.596-597, 2016-09-05 (Released:2017-01-09)
参考文献数
5

現代物理のキーワードより速く,より明るく
著者
松久保 隆 石川 哲之 真木 吉信 高江洲 義矩 北條 祥子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.213-216, 1982-06-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
9
被引用文献数
2

食品の齲蝕誘発能は, 食品の齲蝕誘発病に与える基質としての性質と, その基質としての性質の作用時間とで評価することが, 可能であることを著者らは提唱してきた。本報では, 食品の物理的性状によって影響されると考えられる食品の作用時間としての性質を測定することをその目的とした。食品の作用時間としての性質は, 摂取中の作用時間と嚥下後の作用時間とに分けられ, 前者は, 食品単位重量あたりの摂取時間で, 後者は, 食品の付着性を23種の食品について測定し, その結果から, 食品の物理的性状よりその齲蝕誘発能を評価する方法について次のような考察を得た。1) 従来の報告で食品の作用時間としての性質が正しく評価されていない種類の食品についても, 食品の作用時間としての性質を二つに分けて行なう本研究方法によって, その評価が可能であることが明らかとなった。2) 本研究方法は, 従来の方法と比較して簡単であり, 被験者間の個人差もみられない。3) レオメーターによる食品の物理的性状の測定は, 齲蝕誘発能の評価のための指標として有用であることが, 示唆された。
著者
石川 哲郎 高田 未来美 徳永 圭史 立原 一憲
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.5-18, 2013-05-30 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
2

1996〜2011年に、沖縄島の266河川において、外来魚類の定着状況と分布パターンを詳細に調査した結果、13科に属する30種1雑種の外来魚類を確認した。このうち、温帯域から熱帯域を含む様々な地域を原産とする合計22種(国外外来種19種、国内外来種4種)が沖縄島の陸水域で繁殖していると判断され、外来魚類の種数は在来魚類(7種)の3倍以上に達していた。繁殖している外来魚類の種数は、20年前のデータと比較して2倍以上に増加していたが、これは1985年以降に18種もの観賞用魚類が相次いで野外へ遺棄され、うち10種が繁殖に成功したことが原因であると考えられた。外来魚類の分布は、各種の出現パターンから4グループに分けられた:極めて分布が広範な種(カワスズメOreochromis mossambicusおよびグッピーPoecilia reticulata)、分布が広範な種(カダヤシGambusia affinisなど4種)、分布が中程度の広さの種(マダラロリカリアPterygoplichthys disjunctivusなど5種)および分布が狭い種(ウォーキングキャットフィッシュClarias batrachusなど20種)。外来魚類の出現頻度と人口密度との間には正の相関が認められ、外来魚類の出現パターンと人間活動との間に密接な関係があることが示唆された。外来魚類は、導入から時間が経過するほど分布を拡大する傾向があったが、その速度は種ごとに異なっていた。特に、日本本土やヨーロッパにおいて極めて侵略的な外来魚類であると考えられているモツゴPseudorasbora parva、オオクチバスMicropterus salmoidesおよびブルーギルLepomis macrochirusの分布拡大が遅く、外来魚類の侵略性が導入された環境により異なることが示唆された。沖縄島の陸水域において新たな外来魚類の導入を阻止するためには、観賞用魚類の野外への遺棄を禁ずる法規制の整備と共に、生物多様性に対する外来生物の脅威について地域住民に啓発していくことが重要である。
著者
石川 哲子
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.137-151, 2020-03-31

After the Meiji Restoration, and the introduction of modeling techniques from Europe, traditional wooden sculpture transformed greatly in Japan. While most sculptors moved to modeling, and the end of the Meiji Period and the introduction of the sculptures of Auguste Rodin, this trend intensified, and wooden sculptors fell into decline. Nevertheless, there were still many sculptors who concentrated on wood sculptures, though not as many as before, with a few exceptions. This paper looks at Nakatani Ganko (1868-1937), an active sculptor, who considered sculpture not as ornaments for display but as a work of fine art from as early as the Meiji to Taisho periods. This was a transition period when ornaments began to be valued as fine art. Nakatani came from the countryside to Tokyo, where he was appreciated, yet today few of his works seem to be extant and there is still little known about his life and activities. He is an artist who has been neglected. This paper focuses on the activities and works of representative artist of the time, Hirakushi Denchu, and his early profound interaction with Nakatani to bring into relief the actual image and characteristics of Nakatani's works as one aspect of the history of early modern sculpture in Japan.