- 著者
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大賀 明子
佐藤 喜美子
諏訪 きぬ
- 出版者
- 日本母性衛生学会
- 雑誌
- 母性衛生 (ISSN:03881512)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.4, pp.423-431, 2005-01
- 被引用文献数
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周産期における生活状況をとらえ, その生活状況から現代の里帰り出産の実態を明らかにすることを目的に, 東京近郊都市に居住する乳幼児の両親を対象に調査を実施した。回収率25.2%, 506組の夫婦を分析した結果, 次のことが明らかになった。出産前に自宅を離れた妊婦の92.0%, 出産後自宅以外に退院した褥婦の95.7%は妻の実家で生活していた。生活サポートは, 実母が81.8%など親族ネットワークに支えられた状況であった。父親の21.9%は分娩前から, また28.1%は出産後から母子と別れて生活していた。(1)妊娠中から妊婦が自宅以外で生活, (2)実家に近い地域で分娩, (3)自宅以外に退院, (4)妊娠中から分娩後まで父親は新生児とは別に生活, (5)母親と新生児の自宅への帰宅は3週間以上後, (6)父親と新生児の接触は数日に1日以下, という6つの条件すべてを満たす伝統的里帰り出産をしていたのは17.2%存在した。里帰り出産における医学的な問題は解決の方向に向かっているが, 親役割獲得の上では, 新たな社会的問題が潜在する可能性がある。里帰り出産がわが国の習慣として存在し続ける背景を明らかにし, 内在する社会問題に対する取り組みが必要である。