著者
佐々木 貴浩 佐藤 宏喜 古内 孝幸 竹中 能文 佐久間 正祥 堀 眞佐男
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.926-930, 2005-04-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
18
被引用文献数
1 4

乳癌胆管転移の1例を経験した.症例は56歳,女性.平成9年左乳癌(TlN0M0)で乳房部分切除,腋窩郭清を施行.病理診断は浸潤性乳管癌 硬癌,リンパ節転移陰性,切除断端癌陰性で残存乳房照射50Gyとtamoxifen 20mg 5年間の補助療法を行った.乳癌術後5年5カ月,肝機能障害発症,画像診断上,中下部胆管が著明な狭窄を呈し,胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には粘膜直下より漿膜,膵に浸潤した腺癌が認められ,既往の乳癌の組織像に類似しているところから乳癌の胆管転移と診断した.乳癌の転移による胆管狭窄は肝十二指腸間膜リンパ節転移による報告例が散見される程度で本症例の如き胆管転移は極めて稀である.